『宮本顕治著作集』第三巻を読む
『宮本顕治著作集』第三巻は、1945年の日本の敗戦後から、1949年まで。
敗戦直後の、激動の5年間の時期の著作です。
日本の侵略戦争の敗戦を、著者はどこで、どの様な状態で迎えたか、
それは、この中の『網走の覚書』に紹介されています。
治安維持法違反により逮捕され、監獄での12年間の拘禁から解放されたのは、
1945年10月9日だったとのことです。
(『宮本顕治 獄中からの手紙(下)』の関連年表による)
それから後の、5年間の著作です。
つぎからつぎへと、その時に直面していた問題に、立ち向かっています。
1、敗戦により日本社会が変わっていく中で、社会変革の課題、性格の探求
2、そこには、新しい憲法の問題、天皇制の変化への評価の問題、
3、民主民族戦線(統一戦線)の問題、社会党の反共主義の問題、
4、アメリカの占領政策が変化するなかで、新たに民族独立の課題、
5、文化・芸術運動での評価基準の問題、作品評価の問題、
など、多岐な分野にわたっています。(かなり荒い整理ですが)
私などの今日の感覚からしたら、「5年間」といったら、かなり短い期間ですが、
戦後の5年間に、次々に起きてきた多岐な重要問題に、その一つ一つに、
政党の指導者の一人として、果敢に立ち向かっています。
一つ一つの問題を、機をおかずにそのタイミングの中で、
理論的に問題を掘り下げ、発展させている様子が見てとれます。
ものすごい活動力を感じさせられます。
おもしろいことに、それは過去の事柄ではないんですね。
今日、私たちが直面している問題とも、関連していることがみえてきます。
今日、問題となっていることも、同じような問題が、その原型的な形で、
すでにこの敗戦後の5年間に、いくつも鋭く問題になっていたということです。
やはりその激動の時代に、開拓的な精神で直面した問題に立ち向かっている姿勢が光っていること。
同時に、その後の60数年の間には、問題のそれぞれには、いろいろな発展した点もあるでしょうから、それも通じるようにすること。
この両面をとらえることが、努力を豊かに生かしていく上では、大切なことかと感じます。