唯物史観を学ぶための、一つの方法です
当方は、「唯物論的歴史観」を理解しようとして、
この1月9日に『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』に挑戦していました。
https://plaza.rakuten.co.jp/sagamimikan/diary/201801090000/
「私などが全体を通して注目する一番のポイントは、唯物史観の問題です。
第三版への序文(1885年)で、エンゲルスが書いています。
《マルクスこそ歴史の運動の大法則を初めて発見した人だった。その法則によれば、すべての歴史上の闘争は、政治、宗教、哲学、その他のどんなイデォロギー的分野でおこなわれようと、社会的諸階級の闘争の表現にすぎない。これらの階級の存在、したがってまた、彼らの間の衝突は、それ自体、彼らの経済状態の発展程度によって、彼らの生産、およびその生産に条件づけられた交換の仕方によって、条件づけられているのである。
この法則が、ここでもマルクスにフランス第二共和政の歴史を理解する鍵をあたえた。マルクスはここでの歴史によって、自分の法則を試験したのであって、33年たった今でも、この試験に合格したと言わざるを得ない。》と」。
この「歴史法則」については、『共産党宣言』序文や『経済学批判』の序言などにより、一般的には分かっているつもりだったんですが。一般的に定式を知ることと、それがどの様に適用されているかを知ることとは違うんですね。
私などは、フランスの歴史に疎いために、その政治史の書が理解しにくいものとおもい、そこでいろいろ試行錯誤していたんです。
今回、この適用の仕方についてアドバイスした論文を見つけました。
それが、エンゲルスの『フランスにおける階級闘争』1895年3月6日付「序文」でした。
その冒頭の第1節から7節までで、たかだか文庫で4ページの部分なんですが、
ここでこの理論を、どの様に適用しているか、その仕方を紹介してくれていたんです。
直接には『フランスにおける階級闘争』についてなんですが、『ブリュメール18日』についてもかさなるんですね。この理論の適用と、その検証をアドバイスしてくれていたんです。
まず、「新ライン新聞」(1848年6月1日から)ですが、
そこではいろいろな政治的諸事件を説明するためにたえず使われた。しかし日刊紙で進行中の時代史を書く場合には、材料が不足しており、あとから分かることからして限定があった、と。
だから、政治的闘争を経済的発達から生じた現存の社会階級の利害の闘争に還元すること、ここの政党が階級分派をあらわしていることを証明するくらいだった。
ところが、1849年8月末、マルクスは亡命で、ロンドンに着いたんですが。
そこで、1850年1月から『新ライン新聞、政治経済評論』を刊行しだすわけですが、経済学史の研究ができるようになったのは50年の春以降だったというんですね。
この雑誌に、『フランスにおける階級闘争』の第1章が1月創刊号に、第2章が2月の2号に、第3章が3月号に掲載されたわけです。
そこでのテーマですが、「この本が扱う問題は、数年にわたるヨーロッパの個々の国の発展をつうじて、その内的な因果関係を証明することであった。それは、政治上の事件を、究極的に経済的原因に還元することだった」と。
そして、この『フランスにおける階級闘争』が、それまでの論評の検証を意味していた。
1850年春からの経済史の研究によって、「それまでは不備な材料にもとづいて、なかば先験的に結論していたことが、事実そのものから確かめられた。すなわち、1847年の世界的商業恐慌が、1848年2月、3月革命の本当の生みの親、原因だったこと。48年の半ばから景気がだんだん回復して1849年、50年に全盛に達した産業の好況が、新たに強化した反動を活気づけた力だったことが。」
1850年11月に二人で書いた最後の論評(そのフランス部分が『フランスにおける階級闘争』の第4章で)では、革命が切迫しているとの幻想を捨てており、この一点だけが第1-3章への本質的な訂正であったこと、それ以外には「前の諸章であたえた事件の解釈にも、そこで述べられた因果関係についても、全然変更すべきものがなかった。」と。
ここでエンゲルスは、唯物論的な歴史観を、一定の国の歴史への適用する仕方が示されています。また、検証の仕方もアドバイスしています。
私などは、これまで、ただやみくもに、全体を知ろうとして読んでいたんです。読書百遍、意自ずから通じるといったふうで。それがこれまでの接近の仕方だったんですね。
それでは、肝心の問題がどこにあるか見損なってしまう、歴史社会の因果関係というものを捉え損ねることが多々あるんですね。
このアドバイスを参考にして、もう一度、読み返してみる必要がでてきました。
もしも、これにより唯物論的な歴史理論の理解を深めれたら、やはり問題は私たちの今ですね。
私たち自身の日本の近代史から、戦後日本の70年余の歴史から、今直面している問題を前に進めるために、たくさんの学びかえすことがありそうですね。