「教育の無償化」論、二つの見方
参議院選挙は、選挙期間があと4日となりました。
東京選挙区の選挙公報を見ていたら、
同じ「教育の無償化」について、二つの見方が掲載されていました。
その一、「来年4月に全国展開される私立学校授業料の実質無償化は、自ら安倍晋三首相に直談判し制度創設が政府方針に」
その二、「安倍政権の「大学無償化」は9割近い学生が対象外、しかも財源は消費税の増税です。こんな看板倒れの制度ではなく、すべての学生の授業料をすみやかに半額にし、段階的に無償化します。返済猶予期間の延長や利子分の返還免除など、「奨学金借金苦」からの救済制度をつくります」
これは同じ問題について書かれたことなんですよ。
第一は公明党代表の山口氏、第二は共産党の吉良氏です。
その広報の部分です。
同じ「大学授業料の無償化」施策についてですが、それぞれ立場によってずいぶん見方が違いますね。
私などは50年前の学生ですが、当時法政大学に入った時には、
確か1年間の授業料は18万円だったはずなんです。
(失礼、そんなはずはありませんよね。ただ、安かったことは間違いありません。
18万円が何だったか、18万円の記憶はあるんですが、何だったか。
四半期分だったかもしれない。とにかくそれを払ったは記憶があります。
何しろ50年前のことですから)
同じ学生でも、時代社会とともにその置かれた状況というのは、ずいぶん変わってるんですね。
今は大変になっているんですね。
借りた奨学金は利子付きで、その多くの学生が多額のローン返済に追わて四苦八苦しているなんて、まったく信じがたい今の現実です。
ところで、5月19日付の「東京新聞」のコラムですが。
たまたまですが、切り抜いておいたんです。
少し前の記事ですが、この問題に重なっていたんです。
前・文部科学省政務次官の前川喜平氏の小論です。
私などは浦島太郎の学生ですが、この方は文科省の官僚のトップ、大ベテランです。
私などは「現役では絶対に言えないことを書いているな」と内容はわかりませんが、注目したんです。
それが、まさにこの問題だったんですね。
そのコラムを紹介させていただきます。
「高等教育無償化が変だ
大学等修学支援法が成立した(来年度施行)。この法律は高等教育無償化法とも呼ばれる。
無償化といっても、その実態は、住民税非課税世帯など低所得世帯の学生に対して授業料・入学金の減免措置と給付型奨学金の支給を行うというもので、無償化にはほど遠い。
加えて問題なのは、支援の対象者に所得以外のさまざまな条件が付けられていることだ。たとえば、高校卒業後二年までに入学したものに限るという条件。これは生涯教育の理念に反する。入学年齢で差別するべきではない。
さらに変なのは、学生個人に対する支援なのに、入学する大学等に対して条件がつけられていることだ。「勉学が職業に結びつく」「社会で自立し、活躍できるようになる」という「実践的教育」を行う大学等に限られるのだ。具体的には、実務経験のある教員による授業科目を一割以上配置し、法人の理事に産業界等の外部人材を複数任命するなどの条件が求められる。文科省がそれを確認し、確認された教育機関は法律上「確認大学等」と呼ばれる。「確認大学等」以外で学ぶ学生は、たとえそこでしか学べないものがあるとしても支援は受けられない。これは法の下の平等に反する。
この「無償化」は、学生を人質にとって、大学に対し産業界の要求に応じる教育を行うよう迫り、大学の在り方を歪める政策だといってよい。」
わたしの記憶では、いつだったか吉良よし子議員が、どこかの委員会で、「「無償化法」なんて名は取り消してほしい」と、政府に食ってかかっていたのを見た記憶があるんですが。そのとき私は、疲れてもいたし、よくそのやりとりの中身を追跡できなかったんです。
しかし、この前川氏のコメントを読み返してみて、なぜ若い吉良さんが海千山千の閣僚と官僚にかみついたか、わかりました。細部は分かりませんが、その中心点だけは分かりました。
発言できない学生たちの、その親たちの気持ちを代弁してたんですね。
他方、それに対して、「福祉の党・平和の党」があきれますね。「与党にはいってこういうことを実現したんだ」とさも自慢したいんでしょうが、実績宣伝しているつもりなんでしょうが。こちらは2015年9月の戦争法に賛成した時の姿が思い出されました。そしてまた、もここでも、悪法を美化する太鼓持ちをしでかしているんですね。それが自民・公明で多数派をつくれば、問題ある施策でも、なんでも強行できるんですね。ただ、戦争の危険という現実は、平和のイメージで隠そうとしても、隠しきれないんですね。
私などは、一つの意見にすぎませんが、あと4日間、大きな選択の時が近づいています。
綺麗な言葉にごまかされないないように、
ひとつひとつものごとをよく確かめて、全面的に見て、選択したいと思っています。