みかん園の耕作放棄と対応
小田原市で2月13日(木)「みかんの耕作放棄地への対応」についての学習会がありました。
これは、小田原市生涯現役推進協議会が主催したものですが。
小田原・早川でも、みかん園の耕作放棄がすすんでますが、現況はどうなっているのか。
また、放棄されていたみかん園を、今、再生させようとする努力がすすんでいること。
こうした問題についての学習会でした。
小田原市早川地区でみると、耕作面積と荒廃面積との最近の推移をみると、
2000年 2005年 2010年 2015年
耕作面積 98ha 87ha 79ha 80ha
放棄地面積 31ha 40ha 45ha 38ha
放棄地比率 24% 31.5% 36% 32.2%
農業センサス
現状では、みかん園の3割以上が耕作放棄地・放任園化していること。
同時に、最近では7haだけど放棄地の面積が減り、1haだけど耕作地が増えていること。
わたしなど、みかん畑を相手にしていると、自分のところの手入れだけで精いっぱいで、
周りみかん園については、概観はみていても、実際の情況などはほとんどわかりません。
だけど、自分の畑のまわりを見ても、放任化されたみかん園があちこちにあるのが分かります。
枯れたつる草がかぶさっているところは、そのほとんどが以前はみかん畑だったところです。
かくゆう私も、今回出かけてきた目的というのは、
みかん園の隣にある雑木林ですが、雑木をはらって、イノシシの侵入防止柵を移動することでした。
これまではイノシシの捕獲檻があるところは、雑木林のヘリだったんですが。
雑木林は、イノシシが日に日に活動していて、ここがその拠点になっていたわけです。
イノシシは利口で檻を避けて、その周りの草の根などを採るべく地面を掘り返しています。
みかん園を放任化すると、それがイノシシの日常的活動圏になって、
みかん畑や野菜の畑を荒らしにやってくるわけです。
鉄柵で囲うことが、みかんを含めて畑づくりの必要条件になっているんですね。
みかんの場合、下からはイノシシ、上からはヒヨドリが狙っています。
みかん園の放棄は、農家はしたくてしているわけではありません。
農夫が高齢化して体力の限界から、やむをえず放棄している状況が、実情があります。
その耕作者の高齢化、後継者の不足、体力の縮小などの問題は、
たんにみかん農家だけの問題じゃなくて、一般的に農家が共通に抱えている問題です。
今回の学習会ですが、
これは、都市住民が「オーナー制」によるみかんづくりに、新たな輪がひろがっている経験が紹介され、交流されたものでしたが。
引き続き、宿題は出されています。
みかん園の放任園化をきたす要因に、どの様な政策を社会・政治的に立てるのか。
現に発生している放任園ですが、園主さんたちは体力的に限界にあるわけで、
その意向を生かしつつどの様に社会・政治的に再生・維持させていくのか。
『農産物を海外に輸出すればよい、日本の農家にはその力がある』
などと、政治家のトンチンカンなトップがのたまわっていますが、
農家の高齢化した体力というのは、5年先、10年先を待てないんですね。
早く、実情に見合った農政が、正面からまともな議論が交わされることが、
下の農家からも、上の政治家らも、議論が交わされることが求められています。