みかんの花と、お茶と梅
春分が過ぎて温かくなると、毎年のことですが、一雨ごとに雑草が繁茂しだしています。
みかん園の草刈りと元肥の施肥がひと回り終わるころになると、
ようやく、まわりの様子が見えてきます。
一つは、みかんの花が咲きだしたことです。
毎年、五月のゴールデンウィークのころになると、
小田原-真鶴-湯河原のみかん産地の山々は、みかんの花の白さが目立つようになります。
みかん園の近くに来ると、みかんの花の香りがただよってきます。
「はなたちばな」は、万葉の歌にも歌われたように、日本の歴史的な、この時期の風物です。
今は、コロナでそれどころじゃないでしょうが。
前に、数えたことがありますが、『万葉集』には、それこそたくさんの歌がでてきます。
そのひとつを紹介しましょう
五月山花橘にほととぎすこもらう時に会える君かも 巻第十 1936
みかんの花は、めでていればよいのですが、
お茶の新芽の方は、それどころじゃありません。
成育の早いところは、そろそろ茶摘みの時なんです。
いつもなら、やはりゴーデンウィークの頃が茶摘みの時期なんですが、
写真は真鶴のみかん畑の周辺にあるお茶の木です。
お茶摘みしてもまったくおかしくないところまで成育しています。
天候の晴れ間つづきの日と、あれこれの都合を考慮しつつ、
もはや茶摘みをしなければならない時期に、真鶴園は来ているということです。
もう一つ、梅の実ですが、枝で目立つようになってきました。
これまでは、葉の陰に隠れて注意しないと分からなかったんですが、
南高梅に赤みが出て来て、その存在をアピールしだしています。
梅は梅雨のシーズンが収穫期ですが、例年ならば6月なんですが、
今年は、人間のコロナ事情とはちがって、自然の方は果実の生育が活発で、
早いんですね。
梅も『万葉集』で多く歌われていますが、
それらは、下世話な実よりも梅の花をめでることが、おおく歌われています。
みかんの花、みかん園周辺のお茶の木、そして梅の実と、
日本の今ころの自然というのは、綺麗でエネルギッシュな息吹きを示してくれています。
ひとは、雑草の力に、大変ですが負けるわけにはいかないんですね。