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みかんの木を育てる-四季の変化

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2021年07月25日
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ヘーゲル『大論理学』21概念論・概念一般について2

今回も、『大論理学』第三巻概念論、「一般概念について」です。

ヘーゲルの著作は、たいがいはじめに「序論」を書いて、大よその中身を示唆しています。

今回の『大論理学』第三巻でも、冒頭に「概念一般について」がかかれています。
これも「序論」の性格の様で、第三巻「概念論」を読んでゆく上で、中身のポイントをアドバイスしようとする意図があるんじゃないでしょうか。

 



一、第三巻序論の「概念一般について」ですが、


ヘーゲルはここで、

1.そもそも概念の本性とはなにか、それはどの様に発生してきたのか。2.スピノザやカントの功績と問題点をどんな点で前進させたのか。3.経験的素材は現れるままで真理をもつのではなく、概念のとの同一性の中ではじめて真理をもつこと。4.論理学と他の諸科学との関係について。
少なくともこうした諸問題が述べているわけです。

 しかしアドバイスだったとしても、この序論も私などにとっては難物なんですが。
ヘーゲルは
第一巻序論で言っています。理解の補助のために序論を書くが、この序論ですべてが分かるわけではなくて、やはり本論の論述全体をとおして、その結論として中身は理解されるものだからと。
その意味では、おおよその中身が分かればよくて、全部が全部理解できなくても、つまずくことはなく、気軽にすすんでゆけ、ということでしょうか。

 

二、そもそも「概念」とは何なのか。
これがそもそもの大問題なんですが。
今回の中から
いくつかひろいだしてみました。

第一に、私などはせっかちですから、この「概念とは何か」から、最初の問題を探ろうとするんですが、ヘーゲルは冒頭のところでそれに対して釘を刺しています。
ヘーゲルは、直接的なものを最初に知ろうとしても、直接的なものというのは媒介されたものだから、その媒介を知らなければ直接的なものはわからない。
「概念は、まず一般に有と本質に対する第三者であり、有と本質とは概念の生成の契機である。・・・だから、有と本質を考察する客観的論理学は本来、概念の発生的叙述である。」
この発生過程を知らなければ、概念を理解することは出来ない、と。

 

第二に、これを詳しく見れば、実体から概念が現れてくるけれど、それは因果性と交互作用を通じての実体の運動(第二巻第三篇「現実性」)をつうじて概念の生成が叙述された。実体の運動は必然性の関係なんだけど、概念の自由というのは、実体の必然性の真理だからだ。
分かったような分からない表現ですが、ようするに実体の必然性の関係から概念の自由が生まれてくるとの生成過程をとらえているんですね。ここにはスピノザの自由の問題が関係してくるし、ヘーゲルは概念というのは「自由の国だ」というんです。

これら第三巻概念論を始めるにあたって、それは第一巻有論と第二巻本質論が基礎になっていることを、まとめとして述べることで、その関連をあきらかにしようとしているんじゃないでしょうか。「自由と必然性」の問題ですね。

 

第三に、さらに概念の規定として
「概念の規定は単純な同一性だけど、自分自身の合致とともに否定性の規定をもっている。そうしたものとしての普遍性であり、自分に対する否定性の規定から個別である。この普遍性と個別の両方の各々が全体性である。各自は自分の中に他者の規定を含んでいる。この二つの全体性は全く一つのものであると同時に、その統一はこの二元性の自由な仮象(形態)への自分自身の分離である。」

これも第二巻第三篇「現実性」のところに、類似した問題がありました。しかし、今回は概念の中で、どのようにあらわれてくるか、です。


ヘーゲルの著作は、どこでもその表現もなかなか分かりにくいんですが、空虚な文句を並べているわけではなくて、表現の仕方はまずくても、言いたい積極的な中身があるんですね。だからスルメのようなもので、そんなわかりにくい表現のなから、彼の積極的な思想をみつけだすこと、その宝を引き出してくることは、やはり大事な課題としてあるとおもいます。

エンゲルスのアドバイスです。
ヘーゲルは「ひじょうにしばしは、あの無理な組み立てに逃げ場をもとめなければならなかったのは、言うまでもないことであるが、こうした組立てについて小人的なかれの反対者たちは、いまもって、さわぎたてているのである。しかし、このような組立てはかれの仕事のワクであり、足場にすぎない。もし人びとがここにとどまるような無益なことにかかわらずに、この巨大な建物のなかにもっと深く入っていくならば、今日でもなお十分に値打ちのある無数の宝をみいだすだろう。どの哲学者にあっても、「体系」というものはまさしく消滅していくものなのである。」(『フォイエルバッハ論』新日本文庫 P21)

三、カントの批評について

この「概念一般について」は全体で27節あるんですが、そのうち「カント批評」は半分の13節もしめています。それだけ重視してヘーゲルはカントの分析と評価を行っています。どの様な点でカントを評価し、またどのような点で前進させたのか。

ここもその意味を読み取るのは、やはりやっかいだったんですが。


今回、レーニンの『哲学ノート』が参考になりました。

レーニンは、私流に数えるとカント部分に関して、全集第38巻のP137-145で、全部で16か所の書き抜きをしていました。すべての節で書き抜きをしているし、なかにはほぼ全文を書き抜いている節もあります。その中で自分の意見や評価を書き加えているんです。エンゲルスの『フォイエルバッハ論』が理解するヒントになっていることがうかがえます。とにかく、大変な努力をしたもので、身を入れた学習だったことがうかがえます。この弁証法を理解しようとの努力ですが、どうしてあの忙しい人が、そこまでこだわりぬいたのか、それが必要だったのか。とにかくそのあとが残されています。

私などは、そのおかげで、このヘーゲルのカント批評の部分を理解するのに、レーニンの論評が大変参考になりました。これがなければ、この難所に踏み込めなかったかもしれません。

 

四、『小論理学』では、この問題がどうあつかわれているのか。

前回も紹介しましたが、ヘーゲルは『論理学』を長年にわたって講義しているんですね。

その経過をみると、

1、『大論理学』第三巻「概念一般について」は、「1816721日 ニュールンベルグ」の著者の序言がついています。『大論理学』第一巻と第二巻は「1812322日 ニュールンベルグ」がついていますし、第一巻については「1831117日 ベルリン」の第二版の序文がついています。

2、他方、『小論理学』は第三版が「1830919日 ベルリン」で刊行されています。
3、最晩年の講義『論理学講義
1831年』(文理閣)は、『小論理学』をテキストにして行われたようです。

 

 同じ主題を語っていても、ヘーゲル自身にもこれだけの時の積み重ねがあるわけで、さらに刊行された書籍と口頭での講義とでは、また性格が違ってきます。
『大論理学』というのは、ヘーゲル自身が鎧兜で、どこからも突っ込まれないようにと、四角四面に推敲に推敲を重ねたものとすると、もしかして読んで理解するのが一番厄介なものかもしれません。

 とにかく、この険しい『大論理学』の山に挑戦して、あれこれの道・方法を探って接近しようとしているわけですが、今回の「概念論一般について」に関しては、レーニンの『哲学ノート』ですが、これがヘーゲルのカント批評を理解する上でたいへん参考になった次第です。

今回は、以上です。






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Last updated  2021年07月25日 14時57分52秒
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