志位『資本論』ゼミへの一つの感想
5月10日に共産党・志位和夫議長が、民青同盟のゼミで対話講演をされました。
若い人たちに『資本論』を、わかりやすく正確に、どの様な話すか、注目していたんですが。

50年前に、私なども、当時の青年の一人として、同じことを経験したわけですが。
志位講演に対して、旧友から感想が寄せられました。
個人的な、貴重な感想です。その内容は個人的なものにとどまらないと思います。
私なども同じ感想を持つんですが、それを紹介させていただきます。
『志位和夫氏が講師を務めたオンラインゼミ(2025.05.10)「いま『資本論』がおもしろい」を拝聴しました。3時間40分(休憩を含む)に及ぶビデオでした。
『資本論』第1部について、QアンドAの形式で、講師が各問に答える。という形で、その内容を紹介するものでした。
概ね、次のテーマにまとめられるように思います。
一 導入として、商品の交換過程。
二 搾取の仕組み 絶対的剰余価値の生産・相対的剰余価値の生産
三 貧困化 資本の蓄積過程
一 導入として、商品の交換過程
『資本論』第一部(以下記載を省略)第一編・第二編に相当。講師の概要説明。商品の交換過程論(価値論)の問題ではなしに、労働力という特殊な商品の話への導入として紹介されているように思われた。
二 搾取の仕組み 絶対的剰余価値の生産・相対的剰余価値の生産
ここが一つの山場か。特に第三編第八章労働日と第四編第十三章機械と大工業からは、『資本論』本文の紹介があり、面白いところでした。『資本論』の内に弁証法が語られているとの指摘は納得です。
三 貧困化 資本の蓄積過程
『資本論』第一部の総括。特に第七編第二十三章「資本主義的蓄積の一般法則」でも、『資本論』本文の紹介もあり、やはり圧巻。
感想
久しぶりに学生に戻ったような感覚がありつつも、3時間を超えるビデオは、見るだけでも数日を要しました。
「古典を学ぼう」という講師の呼びかけは、若者に届いたのではないかと思います。読んで解らなくても良い。疑問点があっても良い。という指摘。ただし、中途で投げ出すのではなしに通読してみよう、という呼び掛け。第一部だけでも読み通して、という呼び掛けは、その通りだと思います。
参考文献の紹介がありました。マルクス著『賃金・価格・利潤』と不破哲三著『資本論全三部を読む』でした。私は、マルクス著『賃労働と資本』を加えたい思いです。さらに、古本で在庫があれば有斐閣の『マルクス経済学体系』や『マルクス経済学講座』『新マルクス経済学講座』を挙げたい所です。
余計な一言・二言を加えれば、原典からの引用紹介を増やしてほしかった。第一篇・第二篇は、難しい事は事実として、商品の交換の内に「弁証法」が語られていることも触れおきたい。価値形態論は恋愛論であると思っているので。
更に一言。生産過程における再生産過程論として第七編をとらえることで、資本のより運動的把握・本質的把握が深まり、併せて、第二部・第三部へのつながりも見えてくるという紹介もあってほしかった。
等々、欲張れば切がありませんネ。』
以上。
私などは思うんですが、
日本には、マルクスの経済学批判を解いてきた歴史がると思うんです。
その成果についての評価が大事だと思いますし、その上にたって、志位さんはどこに新たなプレゼントをしてくれたのか。
それは一つの運動ですから、このゼミの成果をどのようにつかんで、それを我々の生活にどの様に生かすのか。この点では、若ものも、私などの年よりも、同じスタートラインにあるわけです。
「あぁ、よかった」で、終るようであっては、猫に小判、宝の持ち腐れだということです。
いまを生きる人に対して、こうした基本的な問題が、あらためて提起されたということです。