日本の農業を守れ―5月16日、農民連の首相官邸前での緊急行動
日本の農業を守れ―農民連の緊急行動5月16日、農民連は首相官邸前で緊急宣伝行動をしたとのこと。一、問題のアメリカ・トランプ大統領の政策ですが、「アメリカの貿易赤字を、関税をかけることで赤字を減らす」「アメリカの赤字の分、アメリカの農産物を買え」ようするに『自動車をアメリカで販売した分、アメリカの農産物を買え』との要求です。一方で、TPPで関税をなくしてアメリカのものを買え、他方では関税の分アメリカ農産物を買え、と。なんとも、身勝手な政策じゃないですか。二、日本の穀物自給率ですが(「主要国の穀物自給率の推移」) 1960年 1985年アメリカ 134% 172%西ドイツ 84% 95%イタリア 72% 83%日本 82% 30%アメリカは大規模な農業をもち、たくさんの農産物を輸出しています。日本に対して、「アメリカ産のお米を、もっと輸入しろ」と圧力をかけているわけです。日本政府は、アメリカの要求を、戦後においては受け入れ続けてきている歴史があるわけです。何か不安なことがうわさされれば、お店の店頭からお米が消える。5キロが2500円くらいだったのが今や4800円で、それでも手にはいればさいわい、と。どうなってるんだ、この国の農政は。三、私などは、小田原でみかんを栽培していますが、そこから、最近の歴史を見てみると。 1964年 レモンの自由化 1971年 グレープフルーツの自由化 1978年 オレンジの輸入枠の拡大 1988年 オレンジの自由化農家はレモンの自由化により安いその価格のためにレモンの木を切らざるを得なかった。オレンジの自由化を前にして、みかんの木を切らざるを得なかったわけです。その結果、輸入品の防腐剤等の薬剤漬けが問題となり、国産品が再評価されてきた。しかし、苗木を植えてから、桃栗三年柿八年で、みかんも7年くらいはかかります。工業製品のようにすぐには、つくれないんです。しかし、農業の主はお米です。お米となると、農家そのもののにかかわるし、国民全体の食量に直結してきます。なのにそれが、農家は減反を強いられたり、生産価格の補償を外されたりの、放任の自由化政策です。いまや農家は、風前の灯、風に吹かれるままです。これじゃぁ、若い世代が、農業から離れざるを得なくなるはずです。子育ても出来ないし、家庭を不安にさせれませんから。ア、どのくらいの収入なのか。 1975年 2004年労働者の日給は、 7,255円 19,353円とのこと、稲作農家の日給は、6,953円 2,059円とのことです。(農水省・厚生省資料)「平均的な稲作農家で1戸当たりの農業所得は、2021年、22年が1万円で、時給はわずか10円にすぎません。」(2024年12月11日 農民連第26回定期大会決議 新聞「農民」24年12月23日号)イ、どのくらいの人が農業で頑張っているのか。お米の生産農家の数ですが、 2000年の175万戸から、2023年には58万戸と、 3分の1に激減しているとのこと。私などは、小田原のみかん園で見た限り、農家の高齢化がすすんで、耕作の及ばない畑が増えてきています。まわりの農夫は、70歳代の後半ですが、それでも若手のうちです。80歳代の方たちの多くが、みかん畑を維持するために頑張っているんです。いったいこれから5年先は、どうなっているか。誰が畑の手入れをするのか。まぁ、私なども「出来るところまでは頑張る」、ということですが。そして、この事態を、国の農業政策は、真剣に直視しているのか。具体的な手を差し伸べているのか、真逆な事態がおこなわれている、そこが問われています。そうした中での、この5月16日の首相官邸前の緊急の宣伝行動です。「コメを守れ、日本の農業を守れ」の声ですが、これは国民の食量主権の問題です。国民全体の問題です。私なども、草刈りに追われているばかりでは、ダメです。少しは、視野を広げて、みかんをとおして農業を、日本の農業をとおして、アジアと世界の農業を見る。一人で何が出来るか、という声も聞こえてきますが、農業と国民の食量がかかえている問題です。実際、お米を食べているわけです。ある程度でも、農業全体に認識を持たなければならない、と思っています。