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つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

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2005.02.01
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カテゴリ:百人一詩
「甃のうへ」
三好 達治

あはれ花びらながれ
をみなごに花びらながれ
をみなごしめやかに語らひあゆみ
うららかの跫音空にながれ
をりふしに瞳をあげて
翳りなきみ寺の春をすぎゆくなり
み寺の甍みどりにうるほひ
廂々に
風鐸のすがたしづかなれば
ひとりなる
わが身の影をあゆまする甃のうへ









口語自由訳

しみじみと桜の花びらが流れおちてくる
乙女子らのうえに花びらが流れおちてくる
乙女子らひそひそとおしゃべりしながら歩いてゆく
小さなかわいい足音が空にひびく
ときどき瞳をあげて乙女子らは
かげのない明るいお寺の春の景色のなかを通りすぎてゆく
お寺の甍(いらか)は苔むして緑がかり
どの廂(ひさし)にも
風の訪れを知らせる小鐘がかかっているが静かである
わたしはひとり
自分の影を歩かせながら甃(石畳)のうえを歩いてゆく

































高校生のとき初めてこの詩を教科書で読みました。
今だから告白しますが正直言ってちんぷんかんぷんでした。
作者が何を言いたいのか、さっぱり意味が分からなかったのです。
今なら分かります。
詩には歌のような明確なメッセージなど要らないということが。
たとえて言えば詩は宣伝の対象となる商品のないコマーシャル・フィルムのようなものです。
作者が何をいいたいか、ではなく、読者が何を感じるか、がほとんどすべてです。

自分はここに「をみなご」と「ひとりなる/わが身」の間にある「距離感」と詩人の「孤独」を感じましたが、この読みを他人に押しつけることは出来ないでしょう。ここにある種の「満ち足りた気持ち」を読み取ることもまた、可能ですから。国語の先生が何と言うやら、分かりませんけれどね。

ついでにいえば「少年の日」のあとにこの詩をもってきたのは意図的なものです。





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Last updated  2005.02.26 13:33:49
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