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つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

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2006.09.08
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カテゴリ:詩論・文学論
岩波文庫版『ドン・キホーテ』の新訳が出てもう数年になる。

縮約版ではなく、岩波文庫で初めて通して読んだのは学生時代だった。
翻訳者は故・永田寛定さんである。
今読み返してみると多少訳語や文体が古めかしいがしかし、もともと騎士物語のパロディである本書にはいささか時代がかった表現がむしろ似つかわしい。そういう意味で、いかにも時代錯誤的な遍歴の騎士とど田舎の百姓従士の果てしない問答を、いかにも日本語らしい文体として確立した永田さんの功績は大きいと思う。

ただ、なにぶん半世紀以上前の翻訳である。文体が時代がかっているのはいいとしても、所々誤訳も見られる。「オレフ油」は牛島信明さんの新訳では「オリーブ油」となっているし、昭和20年代ならともかく現代では「和尚」より「司祭」の方が適訳だろう。またセルバンテスが好んだ言葉遊びも、新訳のほうがよくわかるように書いてある。訳語も現代的なので、若い読者にはこちらの方が親しみやすいかもしれない。もっとも、旧訳は古本屋等で根気強く探さないともう見つからないだろうけれども。

新訳のもうひとつの魅力は、ギュスターヴ・ドレの挿絵が旧訳と比べて格段に増えていることである。一頁当たりの文字数も少なくなって読みやすくなった。まさに子供から老人まで楽しめる六冊、である。

ドン・キホーテ(前篇 1)







Last updated  2006.09.11 18:35:26
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