『火星の幻兵団』『火星のチェス人間』『火星の交換頭脳』を収録。いずれも秘境もので、カーターの息子、娘、第二の地球人が活躍する。この手法はターザンやペルシダーにもみられる、バロウズの十八番である。
幻兵団は観念の実体化と催眠術によるショック死がリアルだし、チェス人間に出てくる秘境バントゥームに住むカルデーンの理想はデュマレスト・サーガのサイクランを連想させ、交換頭脳は邪教退治とラス・サヴァスの脳移植手術のくだりが興味深い。とくに『交換頭脳』はあのガーンズバックが自分の雑誌に掲載を認めたもので、いかに先見的なものであったかは、昨今の臓器移植問題を見ればわかるとおりだ。
火星の幻兵団