2011/04/15(金)20:42
新百人一詩その62―杜甫「春望」―
「春望」
杜甫
国破れて山河在り
城春にして草木深し
時に感じては花にも涙を灌ぎ
別れを恨みては鳥にも心を驚かす
烽火三月に連なり
家書万金に抵(あた)る
白頭掻けば更に短く
渾(す)べて簪(しん)に勝(た)えざらんと欲す
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口語自由訳
国が崩壊しても山河は変わらず
春の都長安には今年も草木が生い茂る
時勢に心痛めては花を見ても涙がこぼれ
離れ離れになった人を想っては鳥の哭にもこの胸が痛む
戦いの火は幾月も幾月もやむことなくつづき
家族からの便りは万金を積み重ねてもそうそう来ない
白髪頭は掻けば掻くほど毛が抜け落ちて
簪を挿すにも挿せぬありさまである
韓国の次は大陸に渡って唐の時代に遡ります。
李白と並ぶ大詩人、杜甫の登場です。
少し意訳し、また訳詩が鳥のくちばしに見えるように工夫しました。
詩の背景に興味のある方はご自分でお調べください。
教科書に載るほど有名な作品です。
時勢を勘案しての詩の紹介でした。