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カテゴリ:百人一詩
「竹」
萩原 朔太郎 光る地面に竹が生え、 青竹が生え、 地下には竹の根が生え、 根がしだいにほそらみ、 根の先より繊毛が生え、 かすかにけぶる繊毛が生え、 かすかにふるえ。 かたき地面に竹が生え、 地上にするどく竹が生え、 まつしぐらに竹が生え、 凍れる節節りんりんと、 青空のもとに竹が生え、 竹、竹、竹が生え。 ------------------- 教科書によく出てくる詩です。第一詩集『月に吠える』より。 本詩は「竹とその哀傷」の題の下による連作の第三篇をなしています。「地面の底の病気の顔」「竹」「竹」(これが本詩)と続けて読むとわかりますが、病的というか神経症的というか、とにかく、そういう連作です。芥川龍之介の顔を連想すると、まず、間違いないでしょう。 本詩もよく読めばその傾向がつかめますが、それは感じるものであって教わるものではありません。教えられるのはテクニック。しだいに地下に潜っていく視覚的イメージ、「竹」「生え」「かすかに」などの繰り返し、要所要所の七五調のリズムなどを味わいながら鑑賞すれば、感想などは、学校の先生には申し訳ないけれど、実はどうでもよいのです。 《講談社》萩原朔太郎豪華版日本現代文學全集26 萩原朔太郎集 月に吠える/青猫/蝶を夢む他 【中古】afb お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.07.20 01:51:12
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