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つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

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2014.05.30
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普通なら、これはミステリーに分類すべきだろう。しかし高木彬光の『邪馬台国の秘密』同様、中身はかなり学術的である。逡巡の末、ここに入れることにした。

芥川の王朝物といえば誰しも「地獄変」「羅生門」「藪の中」あたりを傑作に挙げるだろう。「往生絵巻」「六の宮の姫君」も文庫本で読めることは読めるが、やはり小粒である。しかし小粒であるからこそ卒業論文にも取り上げやすいので(失礼!)、本書は、早稲田大学第一文学部を卒業した著者の、卒論のテーマをもとにした書誌学的ミステリーなのである。

作家田崎はもちろん架空の人物である。その彼が「六の宮の姫君」について芥川自身から「あれは玉突きでキャッチボールだ」という言葉を聞いた、それがことの発端であった。

芥川はなぜ「六の宮の姫君」を書いたのか。実にこれだけに的を絞って、さまざまな文献が古書店や図書館であさられる。くわしい経緯は省くけれども、よくできた芥川論、菊池論になっている。「無名作家の日記」「身投げ救助策」「父帰る」など、読み返しはしなかったが、懐かしく思ったことであった。

ついでに。
「羅生門」がなぜ「愉快な」小説なのか、これを読んでよくわかった。最後の一文が、最初のテキストでは、下人が京の町へ盗人をはたらきに行く解放感が強調されていた。「偸盗」ではないが一種の悪漢小説を暗示させる結末だったのである。だから「愉快」だったのだ。


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Last updated  2014.05.30 20:27:18
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