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カテゴリ:伝記・歴史・地理
曽野綾子さんと言えばカトリックである。ヘロデと言えばナザレのイエスである。そういう連想が働いて図書館で本書を手にしたのだが、案の定であった。ただ、ヘロデとイエスはほとんど交わることがない。王の最晩年とキリストの黎明期に、ほんのちょっと関わるだけなのは福音書の通りだ。
あとはもう、ほとんどお家騒動というか、王位継承権をめぐる骨肉の陰謀術数、老いと病と疲労のために内側から腐敗してゆくヘロデ、そういった描写に大半の頁が費やされる。秀逸なのは、物語の語り部として口のきけぬ竪琴引きを設定し、一人称で語らせることによって、回想録めいた「史実」の空気を醸し出していることだ。 現代日本文学に分類しようかとも思ったが、参考文献の量と質から言って、竪琴引き以外はほぼ史実通りと思われるので、ここに入れることにした。 哀れなるかなローマの属国、ユダヤのヘロデ王。そなたはよくやった。本当によくやったよ。 【中古】 狂王ヘロデ 集英社文庫/曽野綾子(著者) 【中古】afb 【中古】 狂王ヘロデ /曽野綾子(著者) 【中古】afb お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.04.08 22:17:14
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