川柳の新・三要素
着想、修辞、動機。この三つが現代の川柳には欠かせないと思う。軽み、おかしみ、穿ちは川柳の基礎だけれども、そればかりではマンネリだ。修辞については言うまでもないだろう。擬人化、オノマトペ、リフレイン、体言止めなど、詩歌の世界ではありふれたものばかりだ。着想を支える技法と言い換えてもいい。そして、動機。実は着想と修辞だけでも、十分現代川柳は詠める。ただそこに、動機、或は志がないと、「仏作って魂入れず」にもなりかねない。もっとも、不具はそれでもいいと思う。川柳というのは、もともと、遊びの文学だから。志、志、と呪文のように唱えていると、いつの間にか「軽み」がなくなってしまう。ひとりの人間の中にいろいろな要素があるように、一人の人間がつくる川柳も、いろいろであっていいのだ。