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つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

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ユートピア・反ユートピア小説

2016.12.09
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少年は(最後まで名前は明かされない)母親の骨壺を抱えて花巻へ向かっていた。遺言通り、遺骨をある川に流すためだ。だが、いつの間にかそこは昭和八年の花巻になっていた。タイムスリップ? だがそこは昭和三年に賢治がなくなり、死んだはずの妹トシが生きていて娘の「さそり」がいる世界だった。しかもあろうことか少年は「ジョバンニ」として「カムパネルラ」殺しの犯人にされてしまう???

『銀河鉄道の夜』と『風又三郎』を踏まえて、二転三転するストーリーは、冒険小説であり、SFであり、ミステリーである。ちょっと分類しにくいが、あえてこのカテゴリーに入れた。読んでいただければその理由はお分かりいただけると思う。『図書館戦争』にも通じる世界観だから。あ、言っちゃった。

でも、こんなご時世の今だからこそ、一人でも多くの人に読んでもらいたい小説だ。

「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」
BYヴォルテール




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Last updated  2017.01.07 18:12:33
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2016.11.23
男女雇用機会均等法が施行されて何年もたっていない頃、エイズが恐怖の病気だった頃、バブル経済が日本を席巻していた頃。そんな時代にこの小説は書かれた。新しい日本は大日本帝国のような「帝国」ではないが、支配ー従属関係にあるもののうち前者をしてそう呼ぶのだと考えればよい。

タイトルから推し量られるように、本書は男女の関係の逆転した22世紀の世界を描いている。なぜ逆転したか。ワクチンができたものの、エイズが筋ジストロフィーのように男性にのみ発病する病気になったので、男たちは怪我を恐れておとなしなり、逆に女たちの方が生き生きしだしたのだ。ウイルスの伝播は早い。『猿の惑星 創世記』のように、変性エイズは瞬く間に世界中に広まった。
エイズが死に至る病でなくなった今、この本は時代遅れだ、という人がいたらそれは違う、と申し上げたい。もう一世代も前に書かれたのに、諷刺小説として現代にも通用する要素をもっているからだ。

前提として、男らしくというのは現実世界では女らしく、女らしくというのは男らしくということだと考えよう(主人公の名前に象徴されるように、この世界の男性たちはたいてい女性的な名前である)。そうすれば、女性に虐げられる男性の姿を通して、男性に差別されてきた女性の気持ちがよくわかる仕組みになっている。

前半では、作者はいわゆる「性差」を文化的なものとして読者に提示する。言い換えれば、社会による人工的な神話である。『男性の決断に関する十二章』は伊藤整の『女性に関する十二章』のもじりだし、男性は女性の数十倍「感じる」などという表現も、男性が女性に言い聞かせてきたことのパロディである。

では男女の「性差」は全て文化的なものなのか。そうではない、と作者は答えを用意している。種を提供し、子どもを育てた父親はエイズで死ぬこともあるが、その際「英雄」としてますらお神社に祀られる。これは明らかに「英霊」と「靖国神社」そして戦争への諷刺である。

これをもって怪しからんと思う人には再度、それは違いますよ、と申し上げたい。諷刺の対象になっているのは第二次大戦ではなく、近代の戦争そのものである。しかもこれらの儀式は男性が考え出した。政治体制を奪われ、経済活動を奪われ、科学技術を奪われた男たちは、その生きがいを武士道ではないが「死ぬこと」に求めた。子どもを育てて「英雄」として死ぬことこそ「男の花道」であるという新たな神話を創り出したのである。

男性は女性に比べると何かにハマりやすい。これは男女の脳の違いによるものであり、具体的に言えば右脳と左脳をつなぐ脳梁の太さの違いである。女性は太い脳梁を通して情報が左右両脳にバランスよく行き交いするから現実的、総合的に物事を見る。夢想しやすいのは男だ。脳梁が細いために、左右のどちらかの脳が特化しやすく、ために専門的になる。古来天才に男性が多いのも、教育水準のせいばかりではなくこのような脳の性差によるものだと考えることができる(皮肉なことに、この世界で最も「やまとなでしこ」だったのは、性転換した元男性だった。あるいは今日でいう性同一性障害の傾向があったのかもしれない)。

男女逆転した社会でも、男はどこまでいっても男だった。体制を打倒すべく、彼らは指導者を立てて男性優位社会の復権を目指す。思想的リーダーの名をミチルという。妻が若死にしたので生き延びたというこの禿げオヤジ、実は女性を拷問して殺すサイコであったとわかる。してみると奥さんも殺したのに相違ない。女性側の指導者が言う「近代という暗黒」とは言い得て妙である。

男女平等社会への道はないのか。ある。だが小説では非常に急進的な形で提示されている。一男性としてこれはいくら何でも現実には受け入れがたい。去勢されるよりはましだとしても。

物語は男たちが革命を始めたところで終わっているが、それがうまくいく保証はない。むしろ思い起こされるのは共産主義革命とその後の社会である。ここにも諷刺があり憂鬱なるディストピアがある。鼠にかみつかれたキャットウーマンたちは、その後どうしただろうか。核兵器ならぬ最後の生物兵器を持ち出しはしなかったか。男性致死率100%のエイズウィルスを。子どもが欲しければ精子バンクに行けばいいのだから。…


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Last updated  2016.12.28 17:20:44
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2015.06.25
これはSFかユートピア小説かファンタジーか。分類に迷うが、どんでんがえしの結末からこのように分類した。レダム人とはよく考えたものだ。モデルはモデル。それ以上のものではない。

ほのめかすようで申し訳ないが、ミステリー的要素もあるのであらすじの詳述は避けたい。ただ一読してハインラインの『異星の客』を連想したことは確かだ。『ヴィーナス』の方が1年早いが、1960年前後という出版年代を考えると、やはりこういう娯楽小説も時代精神と無縁ではありえないということか。

当時ならヒッピーの聖典になりそうな本だが、半世紀以上たった今でも、本書はジェンダーのみならず、マジョリティ/マイノリティについて考えるすべての人にとって示唆に満ちている。いい小説を邦訳してくれたと思う。


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Last updated  2015.06.28 09:11:23
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2013.10.09
『図書館革命』および『別冊図書館戦争1』の続編。手塚と柴崎がある事件を機にくっついて、めでたく大円団に到る本。

個人的には、第1章「もしもタイムマシンがあったら」で描かれる純情中年の恋愛譚が好み。切ないねえ…
「いかなる低俗・劣悪な表現であっても、国民はそれを自分で見て判断する権利がある」


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Last updated  2017.01.07 17:51:38
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2013.10.08
『図書館革命』の本編とエピローグの間の歳月を埋めるオムニバス。リストラとか児童虐待とか不審者侵入とか書籍の窃盗とかいう題材を扱いつつ、「ズッコケ三人組」的にキャラ読みさせてしまう本。

差別用語を使わなくても十分差別的な表現はできる。確かにその通りだ。


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Last updated  2017.01.07 17:52:15
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2013.10.07
れまではオムニバス形式だったが、しめくくりの第4巻は、「作家・当麻蔵人亡命事件」で貫かれている。後半の逃避行は、シドニー・シェルダンの『THE CHASE』を彷彿とさせた。

日本国憲法第21条まで持ち出して、表現の自由の問題を問うあたり、これまでの集大成といったところであり、相変わらずコミカルではあるが、突き付けてくるその切先は鋭い。

惜しむらくは、原電テロという言い方が気になる。今なら原発テロと書くところだ。もっともこれは3.11以前の作品なのだから、致し方ないのである。むしろ9.11以降、原発に潜む問題性を指摘した功績をたたえるべきだろう。


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Last updated  2017.01.07 17:54:39
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2013.10.04
『図書館内乱』の続編。「危機」の意味が分かるのは第4章以降。

実は同じ作者の別系統の本も読んでいるが、比べてみるとこちらは異質だ。際立っている、といっていいかもしれない。表現者として当然のことなのだろうけれど、作者は一貫して検閲反対の立場をとり、しかもそれをエンターテイメントとしてコミカルかつシリアスにまとめあげる。第一級のメロドラマである。

「床屋」が軽度の放送禁止用語にされている由、この本を読んで初めて知る。馬鹿馬鹿しい。いったい誰がどういう基準で決めているのだろう。


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Last updated  2017.01.07 17:54:04
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2013.10.03
『図書館戦争』の続編。全5話がオムニバス形式になりながら、少しずつ話が進んでいく。「内乱」の意味が分かったのは、本を半ばまで読んでから。

勉強になったのは、日本が戦前、植民地の図書的史料を自国に持ち帰ったり、本来図書館がするべきでないことをしたこと。つまり存続のために時流におもねったこと。小説の中のお話だから判断は保留させてもらうけれど、ありそうなエピソードとして心にとどめておきたい。

江東新館長が行政派にも原則派にも属さない「中立」だったのも道理だ。だって自身、「未来企画」派だったのだから。

それにしても郁のキャラって誰かに似ている…と思ったら、『ガラスの仮面』のマヤちゃんそっくりなのでした。とくに「紫のバラの人」と「王子様」あたりがね。

追記:派生本『レインツリーの国』図書館に予約入れました。キルゴア・トラウトの『貝殻の上のヴィーナス』とうとう読みませんでしたから、今度は。


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Last updated  2017.01.07 17:53:31
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2013.10.02
作者は男だと思っていたら実は高知出身で関西在住の女性だった。然しそれで納得がいく。まるで少女漫画を読むような女性主人公からの視座の確かさ、ボケとツッコミの掛け合い漫才のような会話の妙。

こう書くと何だか本書がコメディのようだが、それはスタイルとして喜劇的なのであって、作品としては立派なSFである。「メディア良化法」なる悪法のもとに、思想と良心と表現の自由が検閲されたらどんなことになるか、近未来日本を舞台にしたシュミレーション・娯楽小説である。

話の展開はなるほど荒唐無稽だ。しかしそれはそれとして、「言葉狩り」VS「公共図書館」という構図の下に、思想や良心の自由のみならず、報道や教育の問題にまで舌鋒鋭く切り込んでくる力技に感嘆する。ある人に教えられて初めてその存在を知った作家さんだが、なかなか面白い。続編だけでなく、他の作品も読んでみたいと思った。


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Last updated  2017.01.07 17:53:00
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2010.10.18
ケベック州で交わされる、カナダの先住民アダリオとフランスの軍人ラオンタンとの「対話篇」。今日の目で読むとたいへん文化人類学的であり、示唆に富んでいる。さらにグードヴィルが加筆した部分には、フランス革命を予見したようなくだりもある。

日本流にいえば「アイヌ対和人」の討論になろうか。文明というのはつくづく性悪説に基づくものだ、という感想をもった。宗教にしても、法律にしてもそうだ。結婚と恋愛とアバンチュールに満ちた文明人の性生活より、いわゆる「未開人」の性倫理の方がどれほどわかりやすくまたまっとうであることか。不摂生のために命を縮めながら、なおかつ瀉血療法に頼るという愚。社交という名前の虚偽の友情。金銭の奴隷。貧富の格差。

どちらが健全か、といわれてみれば、なるほど「高貴なる野蛮人」たる彼らの社会の方が健全かもしれない。
ただほとんどの文明人は、簡素な生活に耐えられないだろう。投薬も含めて、文明のおかげで生きていられる人たちもいる。結局私たちにできることは、自らの行いを日々革めつつ、彼らの生活を馬鹿にしないこと、敬意を払うこと、彼らを搾取しないことではなかろうか。

蛇足ながら、同じことが健常者と知的障碍者の間にも成立すると思う。






Last updated  2011.04.18 13:32:38
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