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遅ればせながらベストセラーとなった「国家の品格」を読みました。
古本屋に行くたびに探してみたのですが、意外に出てない。 (新品を買え!って感じですが・・) 最近やっと入手し読んでみました。 著者の藤原正彦氏は数学者であり、作家の新田次郎の次男です。 講演会の内容を文章化してまとめたものということで、やや内容の薄さは感じられましたが、「日本理解」の入門書としては非常にいいのではないかと思います。 書評なんか読むと、「数学者とは思えない論理性の欠如」「誰でも知っているような初歩的な内容」なんて酷評もありました。 そういう人はもっと高度な内容の本を読めばいいわけで、本の意図からすると、みんなに分かりやすくということで目的を達していると思いますけど。 著者の言わんとするところを私なりに考えると ・西洋かぶれをやめよ! ・日本人の本来持っている精神(代表が「武士道」)を取り戻せ! ということなのだろう。 なぜそれが必要かということを例を挙げながら分かりやすく説明した本なのである。 西洋の文明を象徴するのは「合理主義」「自由」「平等」。 これはあたかも不可侵の大前提としてすべての議論がなされ、それに異議を唱えることさえ許されない雰囲気が全世界を覆っている。 が、それ自体が間違っていると著者は言う。 人間は自由でも平等でもない。 生まれながらにして自由などなく、平等でもない。 ルックスの違い、貧富の差、体格の差、学力の差、その他もろもろ、すべて平等ではない。 が、日本にはそれを補う精神性の高さがある。 それが「惻隠の情」。 惻隠の情とは、「同情・あわれみ」で、孟子の言葉に由来しているらしい。 同情とかあわれみとかいうと、どうもイメージがよくないが、要は「相手の気持ちになる」ということだ。 もっと平たく言えば「思いやり」ということか。 「優しいという字は、人に憂えると書く。人の憂いが分かる人が優しく優れた人だ!」 なんて、金八先生も言っていたようだが、同じ意味なのだと思う。 そこから、弱者へのいたわり、敗者への敬意などといった「武士道」につながっていく。 思えば、運動会の徒競走で順番をつけないことが「平等」かということが問題になったことがある。 運動能力はみんな違う。 学習能力も違う。 表面上の問題回避よりも大切なのは、敗者を辱めない心や、結果ではなく努力に対する賞賛なのだと思う。 教育とはそういうことを教えていくことに違いない。 ネットで「惻隠の情」を検索してみるといろいろな意見があることも分かってくる。 「武士道」は強者の弱者に対する憐憫を形にしたもので、上に立つものの「道」である。 士農工商の「農工商」あっての「武士道」である。 それを「日本の心」だと押し付けられても違和感を感じる、 と書いている人もいた。 確かにそれも一理ある。 いろんな意見を聞きながら、もっとみんな「日本」に関心をもったほうがいいと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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