くり坊のひとりごと(blog版)

2013/12/20(金)11:38

OLD ASHIBAの不都合な真実

木の話(52)

OLD ASHIBAのフリー板を並べて、切り口側から見たものです。 ∪状に板が反っているのが分かるかと思います。 切り口の木目を見てみると、年輪が重なって弧を描いているのが分かるかと思いますが、切り口から見て、弧を描く年輪が見えるとき、表面は「板目」という木目になり、乾燥の過程でこんな風に∪状に反ります。 ∪状に反ったものを、まっすぐにしようとすると、割れが入ります。 通常の木材加工の場合には、この状態から削って表面を平らにします。 が、残念ながら、古材を削ってしまうと、古材ではなくなるので、それはできません。 そのため、OLD ASHIBAという商品群は、こういった反りのある材料の組み合わせで成り立っています。 さらに、一般の住宅では、工場内よりもよほど空調が効いているので、工場内で作られた状態から、さらにもう一段、2段乾燥が進み、収縮します。 結果として、 ・反りがさらに進む ・材料に割れが出てくる ・材料どうしの合わせ目に隙間ができる という現象が出てきます。 これは杉足場板の古材を使う限り、程度の差はあっても不可避的に起こります。 OLD ASHIBAシリーズは、古材の味わいをリーズナブルな価格で利用していただける、という特徴がある代わりに、それなりのデメリットも内在していて、それを許容していただくことが大前提になります。 残念ながら、素材である「国産杉」そのものが、柔らかく、反りやすく、割れやすいという欠点があって、家具には適さない材料です。 その証拠に、家具屋さんに、杉の家具はありません。 もし、反らない、割れない、隙間の出ない、古材の家具をご希望であれば、それは、本物のアンティークか、家具に適した材料を使って、わざわざ「エイジング加工」を施して、古材風に仕上げたものになるので、お値段もかなり高いものになってきます。 OLD ASHIBAシリーズもだんだんと認知されてきましたが、古材の「いいとこ」にばかりがに目がいって、「悪いとこ」を理解が不十分で、結果として「ものが悪い」といった評価をされるケースも出てきます。 断言できることは、OLD ASHIBAシリーズは、100人の人がいれば、100人に評価してもらうために企画された商品ではありません。 古材の味わいと、そのデメリットを天稟にかけて、それでもやっぱり、市販の家具より、このほうがいいよね、と言っていただける10人のお客様にお買い上げいただければ十分です。 残念ながら、資材には限りがあります。 限られた資材であれば、より喜んでいいただけるお客様にご提供するべきですね。 ということで、OLD ASHIBAの「不都合な真実」をもっと分かりやすくご説明する必要性を感じている今日この頃です。 この写真は、板に亀裂が入った様子です。 繊維方向に沿った亀裂は強度の大きな低下にはなりませんが、見た目は決してよくありません。 商品の製作時には、ここまでの亀裂のあるものは除外しますが、お客様がご利用されている間に、こういった亀裂や、あるいは材料のあわせめの隙間というのは発生してきます。 そういう可能性も含めて、商品の選定をしていただく必要があります。

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