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日本人は、明治維新からずっと洗脳されっぱなしで現在に至っている、という内容の本です。 著者の苫米地英人という人は、奇をてらった感じが、ドクター赤松っぽい怪しさをかもしていますが、一応、ちゃんとした科学者のようです。 (もちろん、ドクター赤松もちゃんとした科学者ではあります。) 認知科学者ということなのですが、それ自体もよくわかりませんし、何しろ、著作を見ても分野が幅広くて、つかみどころの難しい人であるのは間違いありませんん。 ということで、今回読んでみたのは、「明治維新という名の洗脳 150年の呪縛はどう始まったのか」。 明治維新と言えば、私も「竜馬がゆく」をはじめ、新撰組ものとか、いろいろ読んでわくわくしたものです。 なにしろ、明治維新があればこそ、アジアで唯一欧米列強の植民地支配を逃れることができたという認識です。 が、苫米地氏いわく、それこそが「呪縛」なのだとか。 明治維新を作為的に「美化」し、「正当化」した勢力が背後にある、と言うわけです。 よく言われることですが、坂本竜馬は、「竜馬がゆく」で国民的なヒーローとなりましたが、実際にはそこまでの大物でもなく、著者によれば、「グラバーの使い走り」だとか。 グラバーというのは、長崎のグラバー邸で有名ですが、明治維新に活躍した武器商人のイメージですね。 そのグラバーの後ろ盾があればこそ、薩摩とも、長州とも交流できたというわけです。 明治維新がらみで出てくる陰謀説としては、フリーメイソンがらみのものも見かけます。 グラバー邸の門柱にも、フリーメイソンのマークが刻まれていることからそういう話がでてきたのですが、その件については著者は否定的です。 苫米地氏によれば、グラバーは明治維新直後に多額の負債を抱えたまま倒産。 もともとは武器商人でもないくせに、日本国内の内乱に乗じて大儲けしようとして軍船を仕入れたりして、思いのほか幕府と薩長との手打ちが早かったことから、投資を回収できず倒産してしまったのだとか。 欧米列強が世界中に進出して植民地支配を強めている時代背景を考慮しても、日本などという極東の国に来て商売をするなどというのは、そもそもまともな人間ではない、とも書いてありましたが、確かにそうかもしれませんね。 今以上に世界の果ての得体のしれない国であったでしょう。 興味のある方は、本を読んでいただければと思いますが、明治維新は、日本人の力だけで成し遂げたかのように美化して信じられているものの、実際には背後からそれを後押ししていた力があり、それこそが「国際金融資本」だという結論に。 それゆえ、明治維新後も日本は国際金融資本の影響を強く受けてきたというわけです。 明治維新後に日本は戦争を次々と経験しますが、これもまた、国際金融資本の意向に沿ったものだとか。 国際金融資本と言えば、ロスチャイルドだとか、ロックフェラーだとか、ということになるのですが、私などの下々の人間からすれば、想像もできない世界で、とても事の真偽を確かめることもできません。 国際金融資本の話になると、陰謀論がつきまとってくるのですが、利益を最大化することが「資本主義」の絶対の理念であるならば、そのために策謀を巡らせることは当然と言えば当然のことなのかもしれません。 大統領だって、総理大臣だって、結構短い期間で変わっていきますが、選挙の洗礼を受けることもない巨大資本が大きな意思を持って動けば、この世界を動かすことも思いのままになるのかもしれません。 自らは表に出ずに、見えないところで世界を動かしていくからこそ陰謀ということなのでしょう。 オカルトまがいの陰謀論はともかく、そういう力というのはきっと働いているのだろうと思います。 だからどうしたらいいの? ということになると、難しい問題でもありますし、この本に書いてあること自体の真偽も定かではありませんが、そういうことも含めて、いろいろ考えてみるのはいいことだと思います。 日本人が当たり前として認識している「司馬史観」(司馬遼太郎の著作の歴史観)そのものも、実は洗脳のために利用されたのだと著者はいいます。 私などのように、司馬遼太郎の著作で明治維新から明治時代を知り、わくわくした青春時代を過ごしたものとしては、少々複雑な心境ではありますが・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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