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これは、OLD ASHIBA(杉足場板古材)の写真です。 ささくれだったとところは研磨して、すぐに使える状態にしたものです。 この写真を見て、どのように感じるでしょうか? 「汚い」と思うか、「味があっていい」と思うかが大きな分かれ目になります。 こういったテイストが好きな方は、「いいねえ」ということになるし、嫌いな方は「見た目が悪い」となります。 今の時代、「木のように見えるもの」の多くは、実は印刷ものであったりします。 繊維版などの上に木目柄のシートを貼ったものや、樹脂に木材っぽい凹凸や色を付けたものですね。 組み立て家具の多くはそうです。 組み立て家具でなくても、箱型の収納家具の場合は、扉以外は印刷ものであることも多いですね。 比較的高価な家具には無垢材が使われますが、基本的には、「きれいな材料」を「きれいに仕上げる」ことが当たり前です。 足場板とは、建築現場で作業するための「足場」となる板。 当然、踏まれることが前提ですし、作業中の傷や、錆び、ビスの穴、などというものも普通にあります。 客観的に見て、決してきれいな材料ではありません。 ではなぜ、この汚い材料が、インテリア用材として一定の人気を得ているのでしょうか? それは「きれいなものに囲まれること」への窮屈感、圧迫感によるストレスが原因ではないかと思います。 一般的に、新品というのはきれいです。 でも、新品は、その瞬間から劣化を始めます。 100点の状態から、どんどん減点されていくというストレスの中で生きているとも言えます。 「きれいなもの」=「美しいもの」 ではありません。 「きれいなもの」とは、「欠点のないもの」です。 シートに書かれた木目には、反りも狂いも割れもありません。 すべてが均一で、欠点として指摘できるものはありませんが、美しいかどうかは別な問題です。 ある意味、日本人は、「美しい」かどうかは分からないけれども、「きれい」な空間を求めて住んできました。 これは、欠点の見当たらない人が、必ずしも魅力的な人ではない、ということにもつながるかもしれませんね。 そういう環境下で、2000年代に入ってから、「カフェ」ブームが始まります。 「カフェ」というのは、そこでおいしいものを食べたり、おいしいお茶を飲んだり、という以上に、「非日常」を楽しむ場所でもあります。 ゆったり、まったりと時間を過ごす。 そういった空間に積極的に使われ始めたのが「古材」です。 「バーンウッド」というのは、アメリカ開拓時代の木造の納屋を解体して出てきた材料で、輸入されるとかなり高価なものになるのですが、そういう材料が使われ始めます。 「barn(バーン)」とは納屋のことで、私が受験時代に使っていた連想記憶術の本には、 「barn(晩)、納屋でね」なんて、意味深な連想術が書いてあって、受験生の心を惑わせました。 「古材」というのは、当然新たに作ることができないため、人気が出ると品薄になり、建築家や、デザイナーさんも困ります。 居酒屋でも、古民家解体材が使われたりしましたね。 中には、古材を使えばいいんだろう!と言わんばかりのセンスのない物件も出てきたりします。 そこで、注目を浴びたのが「杉足場板」の古材です。 (2)に続く。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021/04/23 09:37:26 AM
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