木材のクリープ現象と耐荷重
本日は、「木材のクリープ現象」についてのお話です。冒頭の写真のような棚を見たことがありませんか?「荷重でたわんだ棚」です。タイヤ交換に行ったガソリンスタンドの待合室の本棚を撮ったものです。でも、おそらく、最初からこれだけたわんではいなかったと思いますね。木材に限らず、ほとんどのモノには「復元力」というのがあります。ベンチに人が座るとたわみます。でも、人が立ち上がるともとに戻ります。これが「復元力」ですが、許容範囲を超えた荷重をかけ続けた場合、木材が復元力を失い、たわみが固定化され、さらにたわみが進んでいく現象を「クリープ現象」「クリープ変形」といいます。冒頭の写真の棚の本をなくしても、おそらく棚はもとには戻りませんね。一般的に、木材の無垢材は復元力が高いのですが、組み立て家具に多い「繊維板」は復元力が弱く、クリープ現象が起こりやすいようです。「木材の耐荷重」について聞かれることがあるのですが、これも、用途によって変わってきます。ベンチのように、人が時々座る使い方(短期荷重)と、重い水槽をずっと乗せておく(長期荷重)では明らかに変わってきます。この長期荷重の際に問題になってくるのが「クリープ現象」です。極端に言えば、短期荷重の場合は「折れなければいい」ということになりますが、長期荷重の場合は、前述の「木材の復元力を損なわない範囲」であることが重要になってきます。木造住宅の梁のたわみの許容値は、スパンの1/300までとされていますので、1M(1000mm)であれば3mm程度。2M(2000mm)であれば6mm程度、ということになります。本棚の耐荷重を考える際には、このあたりを目安にすればいいと思います。同じ荷重をかけても、木材の種類によった変わってきますし、人が座ったときのように集中してかかる荷重の場合と、本棚に均一に本を並べたときのような分散荷重によっても変わってきますし、使用する材料の節の位置や大きさによっても変わってきます。ということで、ややこしい計算式はあるのですが、一つの目安として、巾200mm、厚み35mmの「杉足場板」の場合、スパン1000mm・・・長期荷重 40キロ 短期荷重はその倍として 80キロ。くらいでしょうか。ちなみに、杉足場板を「足場板」として使用する場合には、スパン1000mmで、150キロくらいまでOKって感じですが、仮設材でもあり「折れない」前提の耐荷重ですね。