神楽「塵倫」から思うこと。
この写真は、お正月に近くのショッピングモールのアトラクションで行われた神楽で撮った写真です。「塵倫(じんりん)」というのは、広島の神楽では人気の定番演目で、しゃくれた顎をもつ恐ろしい形相の鬼が出てくるお話。簡単なストーリーは、海の向こうから大群の敵が攻めてくるのですが、その中に「塵倫」という羽の生えた恐ろしい化け物がいて、それを即位前の第14代 仲哀天皇と家来の高麻呂が激闘の上征伐する、というもの。どうも、このお話は、広島や島根の「神楽」にだけ残ったようで、他の地域にはないようです。仲哀天皇の在位は西暦192年頃〜200年頃とされていてますが、実在が怪しまれている天皇でもあります。また、有名なヤマトタケルの子とされています。日本でも人気の「三国志」の始まりである黄巾の乱が182年なので、「塵倫」の舞台となったのは、中国の漢代末期のころということになります。ちなみに、邪馬台国の卑弥呼が使者を送ったのは、三国志の「魏」の国で、西暦239年。邪馬台国が畿内にあったか、九州にあったかという議論がありますが、そのくらいよくわかっていない神話の時代ですね。ただ、大陸との交流をいうのはかなりあったようで、海の向こうから攻めてくる、というのは海賊の類であったのかもしれません。日本自体が過渡期の混乱にあった時代なので、そのすきを狙って、大陸からやってきて簒奪行為を行う「賊」に悩まされていたことの反映かもしれませんね。とはいえ、石見神楽の流れを汲む芸北の神楽は、とっても迫力があってにぎやかで見ごたえがあります。秋祭りの際には各地で演じられ、芸北地方では神社で夜通し「舞い」が行われます。そして、この写真を撮ったショッピングモールなどにもお客を呼ぶアトラクションとして呼ばれたりします。広島にある神楽団は200を超え、そのすべてが「非営利」。みんな他の仕事をしていて、集まっては練習をし、お祭りやイベントで披露されます。広島の人にとってはとってもなじみ深い文化ですが、県外の人ものぜひ見てもらいたいですね。