|
カテゴリ:カテゴリ未分類
旦那様が 食事をしている最中に 真正面に座り、 小さな鏡を置いて、 いきなり ワキの 無駄毛処理を始めた そんな痛い友達を持つ 蜜緒です。 私が旦那なら 即 離婚です。 さて、台風です。 この台風の中 やむを得ない事情で 外に出なくはならない方々に 敬意を表しながら、 では、 台風で儲かる仕事は一体何があるのだろう と、考えてみました。 知識の乏しい私がまず思いついたのが デリバリー、つまり宅配屋さん。 デリバリーと一言で言っても、 その業種はかなりのもの。 例えば ピザ、 花屋、 ハウスキーピング ベビーシッター、 医者、 宅急便 エステ、 マッサージ、 ヘル・・・・ などなど、 頼めば家や会社に来てくれるサービスが 沢山あります。 私の弟は 学校へ通いながら 接骨院の見習いをしています。 彼は先生と一緒に 時には一人で 通院が無理なお年寄りの方々の家を 直接訪問して、 治療を行っています。 つまり、デリバリーサービスです。 今、弟が気になっているのは 益代さんという おばあさん。 益代さんは転んで足を骨折。 それからというもの 歩けなくなりました。 いえ、 正確には 歩かなくなった ようです。 益代さんは一人暮らしということで 彼女の家には治療費関係なく 病院が終わった後、 極力顔を出すようにしていました。 益代さんも、そういった好意が嬉しかったようで 行くと食事を用意してくれたり、 お土産を帰りに持たせてくれたりしました。 ある日、残業を課せられた弟、 時計をみればもう9時40分。 今夜も益代さんのところに顔を出すから。 と、 言っていたにもかかわらず 既にこんな時間。 先生も帰ってしまったし、 この時間伺うのは やはり失礼なので 翌日にしてもらおうと 電話をかけたところ、 今からでも構わない、なんだか足が痛むから。 との返事。 仕事を大急ぎで切り上げ 彼女の家に向かいました。 「スミマセン、遅くなりました!」 玄関を開けると なぜか いつもとは違う 部屋の香り。 先日のテスターのような(9月30日の日記参照) とても良い香りがします。 もしかして お孫さんでも来ているのかな? 独身で 女日照りの続いている弟は 少し期待しました。 しかし、 奥から出てきたのは いつもの 益代さん。 顔がしわしわの、 眉毛ボーボーの 益代さん。 「ごめんなさいね、無理言ってしまって。」 「いえ、とんでもありません!」 弟は診察カバンから、 必要な道具を取り出して診察を開始しました。 「益代さんね、もう歩けますよ。 ホラ、こうしても痛くないでしょう?」 彼女の足を上下に動かしながら聞いてみると、 「いえ、まだ少し痛むんですよ、本当に。」 と、 少し辛そうな顔をして見せます。 「そうですか、ではもう少し診察を続けましょうね。」 弟は困ったように笑うと 道具をしまい帰る用意をしました。 すると彼女からの 「 ヒロ君(弟)食事まだなんでしょう? 召し上がっていってくださいな。」 という、嬉しい言葉。 一人暮らしの弟が 断る理由なんてありません。 「喜んで!」 弟はキッチンのテーブルに座りました。 片足を引きずりながら 益代さんは クリームシチューを用意してくれました。 弟が食べるのを眺めながら、 彼女は それはそれは幸せそうな顔をしています。 益代さん、一人暮らし寂しいんだろうなぁ。 こうしてあげることも益代さんにとっての治療になれば嬉しいんだけど。 弟はこの時心の底からそう思ったようです。 さて、食事も終わり、帰ろうとした時、 彼女が言いました。 「 実はね、ヒロ君に聞いてもらいたいことがあるの。」 弟は直感しました。 やはりお孫さんが? じゃなければ、見合いの話か? 今にも躍りだしそうな気持ちを抑え、 弟は耳を傾けます。 「 はい、何ですか? 」 益代さんは身を乗り出して 「 ヒロ君は彼女いるのかしら? 」 と、一言。 ホラ来た!!! 弟も身を乗り出しました。 「 いません、今は一人です! 」 嬉しそうに、 にっこり微笑む益代さん。 そして一枚の写真を取り出しました。 「 ねぇ、見て、綺麗でしょ。 」 「 うわー、ホント綺麗な方ですね! 」 長い髪を束ね、 凛とした表情で 真っ直ぐ前を見る 和服の似合う美人。 しかし その写真は セピア色。 遠い、遠い記憶の彼方に戻っても出てこないような、 恐ろしく淡い、かすれた セピア色。 「 それね、私なの。 」 静まり返る部屋。 この空気、どこかで・・・・・・ ああ、そうだ、 別に気にもなってなかった女友達と 二人きりで部屋で勉強してたら なんとなく肩が触れ合っちゃって、 沈黙が続いちゃって、 この沈黙を打破したくて キス しちゃったよーな、 思わず 押し倒しちゃったよーな、 ああ、 そんな空気に 似てるんだ。 「 私じゃ ダメ ?」 「 何が? 」 彼女の肩が触れた。 キス するわけねーだろ!!!!!! 弟は深々と頭を下げて 何事も無かったように玄関で靴を履く。 「 いくらなら? 」 軽いめまいを覚えた時、 彼女は今までには考えられない速さで 弟の背後に立った。 「 益代さん、足治ってるじゃないっすか。 」 後日 弟は語った。 「 益代さん、俺のこと 息子として見てくれてると思ってたんだ。 でも違ってた。 違う意味で 息子 見てた。 」 益代 71歳。 いい年のとり方してるじゃん! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|
|