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西條剛央のブログ:構造構成主義

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西條剛央

西條剛央

2007/08/07
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カテゴリ:政治・経済

今回の「朝青龍事件」は、協会指定医師が危険な状態なので帰国が必要としたことで、おそらく「帰国」によって収束するだろう。

なぜか?

バッシングしている人は、正義の名のもとでいじめることができなくなるからだ。医師も危険といっているのにバッシングし続けたら、いじめということが明示的になるし、いじめるためには罪悪感を引き受けなければならない。特に医師の診断にもかかわらず、朝青龍が自殺未遂などをしたときには、相応のリスクを背負うことになる。


「善良な国民」である彼らは、そうしたリスクは引き受けない。

ノーリスクで安全なところから、むしろ正義の名のもとで、バッシングするのが快感なのだ。



正直、この手の報道はもううんざり。

しかし、いろいろみえてきたこともある。

現代社会では、ボーダレス化と情報化によって、情報は瞬時に隅々まで伝わるようになった。「世間」は時間的、空間的に一つになってしまったのだ。

今回の「朝青龍事件」は、この【世間の単一化】の弊害が如実に表れたといえるかもしれない。

ちょっと前であれば、そもそも朝青龍がモンゴルでサッカーをやっている姿が日本で即日流れるなどということはなかっただろう。そして、ブログやMIXIといったSNSのように各人が情報発信できるような媒体もなかったため、これほど「国民全体による叩き」は起きることもなかっただろう。

しかし、今は瞬間的に全体で個人をぶったたくことが可能になったのだ。

しかも、世間が単一化されているため、逃げることができない。いじめから逃げるもっとも効果的な方法は、そのコミュニティから離れてしまうことなのだが、それすら困難になっている。

(朝青龍はモンゴルという日本と一線を画したコミュニティがあるが、だからこそ、そこに逃げ込むのは許さないというわけだろう。国技を舐めたのだから、日本の国内で徹底的に罰したいという思いもあるのかもしれない。)

【情報化暴力】という新しい暴力の形態が姿を現したといえる。

「明日は我が身」と思えば、これはどれだけ怖ろしいことかわかる。


そして、こうした傾向は今後も加速するだろう。この問題は、僕らがいま思っている以上に、大きな社会システム上の問題であり、そして今後も今までに起きたことのないような現象が起きるだろう。

ノーボーダーはいいが、それだけでも片手落ちなのだと思う。あるところではノーボーダーでありながら、ある側面ではセクト化しているような社会じゃないと、問題が起きたときに、社会が急変するということにもつながりかねない。

情報化社会がもたらすものは、不安定さでもあるのだ。選挙もそうなのだが、情報が瞬時に全体に行き渡ることによって、特に情緒的な判断によって、政治が左右されることになる。自民党大勝、大敗などというはその最たるものだ。

ここまで敏感に反応するシステムは、危険だと思う。政界が不安定になるということは、経済が不安定になるということであり、社会は不安定になるということだ。それは生活が不安定になり、我々は不安になるということだ。そうすると、お金は廻らなくなるため、また経済が悪くなるという悪循環構造が生まれる。


この【情報単一化社会】という新たな時代に際して、個人的に、システム的にどのように対応していくべきか、これについてはいろいろ考えていかねばならない。







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Last updated  2007/09/30 01:56:32 PM
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