西條剛央のブログ:構造構成主義

2009/01/11(日)12:23

達人になる条件

武術(3)

日野晃先生,まさに達人。 すごいものをみてしまった(最初はやらせじゃないのと思ったが)。 いろんな意味で甲野先生と似ている(甲野先生よりガチンコあがりの人という感じはするけど)。 SRS伝説の武道家 達人 日野 晃 1 http://jp.youtube.com/watch?v=Qr-OxVEdBWE&feature=related 4分過ぎの,「ここを忘れて」というところは,最近甲野先生が言っているのと同じだと思った。 SRS伝説の武道家 達人 日野 晃 2 http://jp.youtube.com/watch?v=3Zhb-sL-pcU&feature=related 「タネも仕掛けもあり」「武道とはテーブルマジックのようなもの必ず身体的仕掛けがある」と言い放つところがいい。 SRS伝説の武道家 達人 日野 晃 3 http://jp.youtube.com/watch?v=On5eEyDvmLs&feature=related この前半,甲野先生の技を受けているから,なんとなく気づいたときには斬られているという感覚はよくわかった気がする。 最後の方で「武道には素直さが一番大事」といっていたのが印象深かった。 「自分の意見を相手をぶっこわしてでも言うというのが正しいと言われているが,武道の場合は自分の意見を一切言わないが,自分の意見を通してしまう。だから素直というのがすごい大事な要素。それで行くか行かないか,そこで分かれる」 素直さが一番大事,これは理路を探求する哲学でも同じだと思う。素直さをもっているかどうか,それで行くか行かないか分かれる。 自分の主張を通そうとしすぎて,自分の意見が通らなくなるということはよくある。 オリジナリティを出そうとするあまり,オリジナリティが認められなくなるということもよくある。 「我」にはできるだけひっこでもらって,理路に素直に耳を傾け,「言いたいこと」を通せるあり方を目指したいものだ。 と思うその一方で,日野晃先生にしても,甲野善紀先生にしても,もの凄い素直だったと同時に,同じぐらい傲慢さも持っていたんじゃないかと思う(じゃなければ自分で作ろうとはしない)。 傲慢さと謙虚さといった一見背反するような性質を,かなり高度な水準で同時にもっていること,これが「達人」になる条件なんじゃないかと僕は思う。 おそらくそれは何も矛盾するものではなく、「技」に対してとことん素直であれば、その結果自分より凄い技は謙虚に受け入れ、自分の技の方が凄いと思ったらそれを示すために、外部からみると背反している性質をもっているようにみえる、というだけなのかもしれない。 塩田剛三伝 http://jp.youtube.com/watch?v=eDC2MS5wozI 金魚が攻撃を回避する動きを8年間毎日観察したというのも興味深かった。 きっと身体の各部を同時に動かすとか自然にしていたからこその技だったんだろうけど,それをコトバにしていないので,その神技は神技のままで弟子達は継承しにくかったのではないかとも思う。 達人といわれる人の動きには通じるものがある,というのは素人の僕がみてもなんとなくわかる。 本当に凄い人がいる,ということは嬉しいことだ。

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