西鶴身辺雑記

2011/05/10(火)07:15

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 フィリップ・K・ディック

小説(29)

先日、行きつけ(我が町には現在唯一)の本屋に顔を出した。 文庫の棚を何か探す風でもなく眺めていると、 目の中に飛び込んできた小説のタイトルがあった。 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 SF好きの方には僕が言うまでもなくご存知の 『ブレード・ランナー』の原作本だ。 フィリップ・K・ディックの1969年の作品。 SF映画の金字塔『エイリアン』を監督した リドリー・スコットの名作映画。 学生の頃だから今から30年程前に遡る。 友人のSくんに 「ぷうさん、コレ知ってますか?」 と、聞かれたのが件の本だった。 もちろんこの当時、『ブレード・ランナー』は 既に公開され映画通の間では 高く評価されていた。 しかし当時の僕は、 SF小説は苦手の部類にあったせいか 手に取ることはしなかった。 その小説を30年の月日が流れた今、 読んでみるのも何だか気恥ずかしくもあるが 僕の思考回路は既に舵を切ったあとだった。 皮肉なことに物語は、第三次大戦後、 放射能灰が降り注ぐ近未来の地球が舞台だ。 テレビの天気予報からは 本日の「放射性降下物」についての予報が流れている。 高性能のアンドロイドのおまけ(有体に言えば奴隷)付きで 火星へ移民できるシステムが構築されている世界。 火星に移民した人間を殺し、アンドロイド8人が 地球へ逃げてきた。 それを追うバウンティン・ハンター(賞金稼ぎ)の主人公。 一見、アクション・スリラー風のプロットにも思われるこの作品。 実はものすごい「人間ドラマ」となっている。 感情移入というものをテーマに人間を考える。 小説はまた映画とは違った趣がありとても楽しめた。 にほんブログ村 にほんブログ村

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