時間が消える瞬間。
……タイトルで誤解されないよう言い添えますが、マジックでもイリュージョンの話でもありません。 久しぶりに徹夜をしました。 元々が夜型の生活なので、そんなに珍しいことではないのですが、気が付いたら夜が明けてたというのは久しぶりでして。 今書いているシナリオは、かなり重たい話なので、自分の気持ちをそのモードに持っていくのはかなり大変な作業。 セリフが出てきても、ああでもない、こうでもない、そんな簡単な気持ちじゃないはず、もっと何かが違う……などと考え過ぎてしまうので、書けるものも書けやしない状態で……。 そんなことを繰り返しているとき、ふいに何かが指に宿ることがある。 書くセリフと気持ちが合致する。霧が晴れるかのように、主人公たちの動きが見えるときがある。 鉛筆が、白い紙にセリフを映し出す。 聴いていたはずの音楽も、もはや耳に届かない。 暑さも寒さも感じない。 その瞬間、時間が消える。 おそらく、私は時空を彷徨っている。 空想と妄想の世界。 その身は現世にありながら、意識は遠い彼方へ飛んでいるような気がする。 空が白んでいく時間を私は知らない。 現世に意識が戻ってきたとき、もう完全に夜は明けていた。 他の人は、シナリオを書くとき、どんな風なんだろう? ふと、そんなことを考えた。