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カテゴリ:映画感想
皆さん、八甲田山って映画知ってますか?
ワタシの世代なら、映画や小説でヒットしたので 名前くらいは聞いた事があるかと思います。 知らない方もいらっしゃるかと思いますのでちょっと説明しますと 映画「八甲田山」は実際にあった八甲田雪中行軍遭難事件を元に映画化したものです。 (実際には新田次郎の小説『八甲田山死の彷徨』が原作) ワタシも子供の頃に映画をTV放映で観たような気がするのですが 大勢の兵士が雪山でバタバタ死んでいくだけの ただの怖い映画という印象しかありません。 厳寒時に集団で雪山登山したらそりゃ、遭難するわな! と、当時は思っていました。 ・・・・・・ ところが、先日、ふとした事から Youtubeの解説記事を見て事件の概要を知って愕然としました。 ワタシはてっきり真冬に2000-3000mもある山に集団で登頂を目指したのかと 勝手に思い込んでいましたが、 実は、山の麓の道(登山道ではなく一般道)を通っただけで、しかも目的地は温泉 道中の一番高い高度もせいぜい700mほどだったのです。 しかも、遭難して多くの死者を出した場所は高度500m程度なのです。 いやいやいや・・・・・・・・ 500m程度の山というか、一般道で大量遭難・・・・・ ありえない! 我が家の近くにハイキング向きの低い山があるのですが そこで標高500m程度です。 もちろん、豪雪地帯と温暖な我が家の付近を比較するのは 馬鹿げていますがやっぱり納得できません。 なので、もう少し詳しく事件の概要を調べてみました。 手持ちの地形図と、wikipedia等の記述を照らし合わせながら見ていきます。 遭難した経緯のうち特に重要な場所のみに絞ってみます。 下記の地形図で黒線が遭難した部隊の予定コースです。 左から来て右上の○で囲んだところが目的地の温泉です。 ところが、猛吹雪の為に道がわからなくなって赤丸の場所で露営(野外宿泊)します。 元々温泉で泊まる予定だったために、露営の装備もなくしかも大人数。 掘った竪穴に入って休息するも、上面を覆う幕もなく寝る事も食べる事もできなかったそうです。 地形図によると、露営した場所から目的地の温泉までは目と鼻の先、 距離にして2Kmもないのですが、やむなく帰る事にしたそうです。 (二日目のコースは青線) しかし、吹雪の為、帰り道もわからず鳴沢と呼ばれる沢に突っ込んでしまいます。 名前は沢ですが、地形図によるとかなり急な谷のような場所です。 慌てて引き返すも再度沢に突っ込み、駒込川まで降りてしまいます。 地形図によると川の高度が450mほどなので、谷を高度にして200mも下った事になります。 結局、進退窮まって、元の場所に戻るために崖を200m登る羽目になります。 猛吹雪、気温マイナス20度以上、食事も睡眠も取れずでの崖登りです。 多くの兵士が崖を登れず凍死して滑落したそうです。 無事、崖を登った兵士も猛吹雪の中で彷徨し (青線はワタシが適当に描いたものです) 日も暮れた為に青丸の場所で2日目の露営となります。 結局、この二日目の行動により、体力を消耗し、装備品もなくし、多くの兵士を死に至らしめました。 ちなみに、一日目と二日目の露営地は数百メートルしか離れていません。 結局、この二日目の彷徨が大量死の決定打になったようですが どうしてそれほど迷ったのでしょうか? 地形図を見ると道は一本道のようにも見えます。 なので、今度は地形図を3D化してみました。 こうやって見るとよくわかります。 遭難部隊が露営してその後彷徨した場所は北は駒込川の崖 両側は深い沢、そして後ろが山で、ある意味半島のように 突き出たように孤立しています。 元来た道を帰るにも沢を超えなければなりませんが、 沢に二度ハマって、命がけの崖登りをした部隊は、下り坂を警戒して避けたのかもしれません。 この後、部隊は正しい帰り道を見つけるのですが もはや兵士には体力も残ってなく次々と凍死していくのでした。 ・・・・・・・・ なるほどなぁ・・・・・・ だんだん部隊が全滅した様子がわかってきました。 映画やwikipediaの記述からはわからなかった詳細が 地形図を読む事によってはっきり把握できる感じです。 いやはや、地形図って面白い。 (^^ゞ そういや、NHKにブラタモリという、 タレントのタモリさんが、全国各地を訪問するという番組がありますが 観光名所や特産品にはほとんど目をくれず 番組の焦点が地形や歴史に集中しているという不思議な番組です。 ワタシも時々見てますが、ついつい見入ってしまうんですねぇ。 これが地形萌えというやつなのだろうか? ヤバイ世界に足を突っ込んだ気がする(笑) 余談になりますが、 地形図によると、右端 予定のコースを温泉に寄らずに直進すると(緑線) 高度を下げて人の人家のある集落がありそうです。 こちらに進んでいたら最悪の事態は避けられたようにも思うのですが何でかな? まぁ、遭難時は猛吹雪でまったく視界が効かなかったようなので 行けなかったのかもしれません。 歴史にタラレバはありませんが、多くの方が助かる選択肢は あったのが皮肉ですね。 (;´д`)トホホ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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kkkさんへ
南国育ちのワタシにとって雪国の過酷さは想像できないのです。 (;´д`)トホホ・・・・ 実際多くの方が亡くなられておりますので 道とか一般道とはというレベルとはかけ離れていた事は 想像できます。 (2022.03.14 09:31:17) |