「草の根クラブ」躍進 なでしこL 1部昇格決めたAS狭山
「「草の根クラブ」躍進 なでしこL 1部昇格決めたAS狭山」埼玉新聞http://www.saitama-np.co.jp/news11/28/02s.html 埼玉の女子サッカー界にとって記念すべきシーズンとなった。なでしこリーグ1部で浦和が初タイトルを獲得。2部ではAS狭山が初優勝を飾り来季から10チームに拡大する1部に初昇格を決めた。特にAS狭山の躍進は価値ある事件。AS狭山はJリーグクラブの女子部門でもなければ企業チームとも違い大スポンサーの後ろ盾もない。トップカテゴリーのリーグに挑む「草の根クラブ」は他競技でも少数派だ。11月1日の2部最終節。2位のAS狭山は勝ち点2差で首位に立つ伊賀と敵地で対戦した。後半9分にMF櫛筍が奪ったゴールで伊賀を1―0で退け勝ち点を52に伸ばして逆転。監督を兼任するボランチの増田は「みんなで団結し強い思いでやってきた結果」と胸を張る。選手のほとんどが、それぞれ仕事を持ったり学生生活を送りながらの二足のわらじで栄冠を手にした。チームが産声を上げたのは1985年。早乙女秀雄代表の長女理恵さんがスポーツ少年団の狭山アゼィリアに入団し少女チームをつくったのが始まりだった。同代表は製薬会社勤務の研究コーディネーターでありサッカー経験はない。当初は深くかかわると予想しなかったそうで「高いレベルでやりたいという、みんなの思いでここまできた」と言う。91年に狭山アゼィリアから独立し中学生以上の女子チームに限定した活動を本格的に開始。2002年、日本女子リーグに参入した。03年にNPO法人格を取得。08年に総合型地域スポーツクラブとなり従来のサッカー教室に加え今年からソフトボールやテニス教室なども行っている。早乙女代表は「プロ選手はいないしスタッフも基本的にボランティア。これからのあるべき姿なのではないか」と力を込める。タムラ製作所の協力も得て狭山市内にある同社の敷地に照明設備付きグラウンドを整備。選手も参加して芝を植えメーン練習場として使っている。少女チーム時代から在籍し女子日本代表候補の経験もあるボランチ佐藤は「環境もだんだん良くなり、とても助かっている。自分たちでチームをつくり上げていく雰囲気がいいですね」と誇りを持つ。3年以内に1部で上位を狙う計画だ。ただ課題も多い。教室の収入などでチーム運営費約2千万円を賄うが選手も月1万円の会費を納め遠征費の一定額を負担している。「環境のさらなる改善が必要だし最低でも倍の予算を確保しなければ。しっかりした体制をつくり、地域社会に貢献するのも使命」と早乙女代表。発足26年目となる来季も一歩ずつ前進していく。