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小人

小人

アンパンマン

以下はある精神世界系メーリングリストにて連日連夜のさばる常連のことを寓話風に揶揄して書いたものである。悟りや瞑想を話題とする精神世界でのことだけに、実に滑稽であった。
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「サ」に「化」と書いて「花」と読むがごとく、「自」に「大」と書いて「臭」と読む。ある日ハタとこれに気付いたのだが、まことに的を射た字と言わざるをえない。「臭」の字を作った人は、なにがしかの瞑想的深みに達した人に相違ないと強く確信するものである。

目立ちたがり屋、エゴイスト、恥も外聞もなく自己宣伝と自己保身に明け暮れ、全ての行為が「自分可愛さ」に収斂してしまうような人は実にクサイんである。

「食は飢えぬほど、住まいは濡れぬほど」と、どなたかが仰ったそうですが、「人は臭わぬほど」がよろしいようで・・・。


【アンパンマンのアドバルーン::エゴに関する一考察】


もう何年になるでしょうか、ある街のデパートに、アンパンマンのアドバルーンがポッカリ浮かんでいました。他のアドバルーンより一回り大きく、毎日毎日同じ笑顔をふりまいていました。

奇妙なことにスポンサーは無く、宣伝していたのは他ならぬ「自分自身」でした。ニコニコ顔のアンパンマン、常に一番高い所に浮かび、「みんなボクを見ておくれよー」とばかりに24時間愛想を振りまいています。そして面白いことに、見る人が増えれば増えるほど更に大きくふくらんで、どんどん高く揚がっていくのでした。

最初、街の人々は面白がっていましたが、そのうち子供達までもが飽きてきて、誰一人見上げる人もいなくなりました。なぜなら、何年も何年もずっと同じままだったかったからです。たまに見る人がいても、よその街から来た人か、よほどの物好きだけでした。

さて、アンパンマンのもう一つの特徴は、自分にいい顔をしない人には途端に笑顔が消え、オマケに臭いガスまで吹きかけるというものでした。そのいつもの笑顔との余りの落差に、市民の殆どは呆れ返っていました。

そのガスはオナラの百倍ぐらい臭く、エゴン(EGON)ガスと呼ばれていました。軽いガスで、どんどん上に揚がりたがる特性を持っていましたが、あまりに臭いので、普通は使われないものです。市民はアンパンマンの中にエゴンガスが充満していると知って、よけいに眉をひそめるのでした。

そうこうする内、人々の間から当然のごとく、あのアンパンマンを何とかしろという意見が出始めました。街の景観を損ね、大気を汚染しているというのです。多くの人々が我が街の汚点だと叫びだし、有志が集まって「キレイな空と空気を返せ!」とデモ行進まで始める始末。

数人が直接デパートに掛け合いましたが、デパート側が言うには、あれは誰が揚げたのでもなく、ある日勝手にやってきて勝手に揚がったのだという説明でした。しかも、たいへん不気味なことに、何度か引き下ろしてガスを抜いたり焼却処分したりしたにもかかわらず、数日後には、また新しいのが戻って来るというのです。

そういうわけで、市民のタメ息と諦めをよそに、右にフラフラ、左にフラフラ、その時々の風まかせのアンパンマンは、自分を見てもらいたい一心で、今もその街の空にふわふわ浮かび続けていますとさ。

後日談・・・

さてさて、人の迷惑かえりみず浮かび続けるアンパンマン、誰にも相手にされぬまま、だんだんスモッグと排気ガスに黒ずんでいき、とうとう真っ黒になってしまいました。そんな訳で、今では呼び名も変わり、バイキンマンと呼ばれていますとさ。もっとも、本人だけは自分が真っ黒になってしまった事に全く気付いていないんですけれどもね。


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