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勝手に最遊記Ⅱ

勝手に最遊記Ⅱ

Pain―Past-6

慌てて表に飛び出せば、

「小瑯っ!!」

服も破け、所々から血を流し、村の男達に抱えられている小瑯の姿。
萄花が駆け寄るも意識を失ったまま、村で唯一の医者の家へと運ばれて行った。


「お姉ちゃん・・」
そっと萄花の手を握る。萄花も震えを抑えるように握り返す。

――――――――――不吉な予感に、押しつぶされないように・・・・






















小瑯が意識を取り戻したのは、手当を受けた直後。

開口一番、



「・・・逃げるんだっ!萄花!!」

叫びながら飛び起きた小瑯。慌てて医師や周りの人間が体を押さえつけた。

「どうしたんだ小瑯!」「動くなって・・「俺の事はいいから!萄花っ!!」


「小瑯っ、私はココよ?!もう大丈夫だから・・・動かないで!また血が・・」
「こんな傷、何ともない!萄花・・・今すぐ村を出て行こう!俺と・・ぅあっ!!」

ベットに倒れ込んだ小瑯。そのまま意識を飛ばしてしまった。


「小瑯はどうしたんだ、一体・・・」

小瑯を運んでくれた村の男達が目線を交わす。

「・・・命に別状はない。まぁ、あと半時もすればまた意識も戻るじゃろ。小瑯のことはワシに任せて皆、家に帰ったらどうじゃ?」

老医師に促されて、バラバラと家路につく村人達。

「先生、あの・・」
「萄花は遠慮せず、ココに居ったらええ。もうじき小瑯の嫁さんになるんじゃろ?看病しておくれ」
「ありがとうございます!」

早速、ベットの横に座り小瑯の手を握りしめる萄花。


「あたし、必要なもの取ってくるね!」
ことさら明るく言って夏花が出て行く。
「有り難う、夏花。よろしくね?」

バタバタと夏花が出て行く。




『・・・ありゃ仲睦まじい様子を見てられない、ってトコだな』
チッ、と片目を瞑った悟浄。

すでに短くはない時を過ごした仲間の桃花。

まさかこんな所で(と言っても過去で)桃花の色恋沙汰(になってもいないが)を見るハメになるとは。

『・・つーか、恥ぃんだよなぁ~・・身内を覗き見してるみたいでさぁ』


チョイっと仲間を見回せば。


悟空は歯がゆそうな顔を。八戒は心配満面な顔で。三蔵は・・・いつもの如く、眉間に皺を寄せたまま。


『・・・さて、コレから何が起こるのか・・・』





菩薩が自分達に見せたいモノ。






“其れ”を受け止められない場合―――――――――――桃花の存在を、記憶から消される・・・







「さぁて・・・鬼が出んのか蛇が出んのか?」





勝負師は逃げやしねぇよ、と。紅玉を細めた。


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