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カテゴリ:意
■気になる本 - 日米同盟の正体 - ------------------------------------------------------- ある会員制の掲示板に、 「私は国家戦略はない方が良いと思っている。(以下略)」 という意見が主婦の方からでていた。 どんな人も意見を述べることは自由であり(法に反し なければ)、それは尊重されるべきです。 ただし、その内容については、私は反対です。 国家に戦略がなければ、ただの烏合の集となって しまいます。 国家の戦略については、安全保障、食料、資源、と いろいろと考えなければならないものがあります。 それらの中で、最も国民に理解されていないのが、 安全保障ではないかと危惧します。 トム・クランシーの作品のシリーズである ジャック・ライアン・シリーズは、大変、面白いし 米国の軍事内部の描写がリアルで精密で、感心した ことを思い出します。 「レッド・オクトーバーを追え!」 「愛国者のゲーム」 「クレムリンの枢機卿」 「今そこにある危機」 「 恐怖の総和」 「日米開戦」 「合衆国崩壊」 までは、読んだ記憶があります。主人公の ジャック・ライアンがCIAの分析官であり CIAや米国まで戦略的に検討を加えて 対処するという小説で、本がでる度に主人公 が出世していくというのも楽しみでした。 処女作「レッド・オクトーバーを追え!」では、 息詰まる潜水艦同士(ソ連と米国)の戦い は、小説でも十二分にイメージできますし 映画でも、同じスリリングを味わいました。 「合衆国崩壊」では、主人公が副大統領になり 大統領が死亡したために、自動的に大統領 になってしまう。ひょっとしたら、オバマ大統領 も、この手かな。今の副大統領は、誰でしたかね。 「日米開戦」では、日本人パイロットが ジャンボジェットで米国の議事堂に突入するという 9.11テロを予告しているような内容でした。 こういう本を読みますと、国家としての 戦略がいかに大事かわかります。 いま「日米同盟の正体 迷走する安全保障」(著者 孫崎享、 出版社 株式会社講談社 、発行年月 2009年3月20日) を読み終えました。 著者のプロフィールは、表カバーの裏にあります。 ----引用---- 孫崎 享(まごさき うける) 1943年旧満州国鞍山生まれ。1966年東京大学法学部中退、外務省入省。英国(2回)、ソ連(2回)、米国(ハーバード大学国際問題研究所研究員)、イラク、カナダ勤務を経て、駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使を歴任。国際情報局長時代は各国情報機関と積極的に交流。2002年より防衛大学校教授。この間公共政策学科長、人文社会学群長を歴任。2009年3月退官予定。 ---------- 2005年(平成17年)10月29日に、日本の 外務大臣、防衛庁長官と米国の国務長官、国防長官は 「日米同盟:未来のための変革と再編」という文書に 書名したと、著者は述べています。いわゆる2+2合意 (ツープラスツー合意)と言われているものです。 著者は日米安全保障条約にとってかわったものだ と 述べています。 つまり、日米安全保障条約の6条(極東条項)が、 2+2合意では、世界を対象になってしまっていると。 とすると、推察するに、イラン(近々、アメリカが 戦いを始めるという噂あり)に日本の自衛隊がでていく ことになりかねません。憲法9条があるのに。 この2+2合意は、憲法違反ではないのでしょうか。 だから、日本国内は日本の自衛隊が守る。島嶼(とう しょ、大小の島々)についても。 ----引用---- 尖閣諸島は、米軍が出動できない地域だった? 孫崎享氏インタビュー(2010年9月26日)を是非、みて くださいませ。Vol1~4で長編ですが、今回の 尖閣諸島問題を考える上で非常に大事です。 以上「田中角栄の遺言」のコメントより ----引用---- だから、小沢一郎氏が過去に述べたことが大事なの です。日本は、国連が決めたことに対して軍事的支援 を行うということが。また、日本は自国の自衛隊で 守り、米国はその支援で充分 ということです。 ところで、何故、マスコミも軍事戦略の記事や 識者討論をおこなわないのか 疑問です。 でないと、我々の知らないところで、どんどん物事が 進められてしまいます。あの戦争の二の舞は御免です。 いまでも自衛隊内部では、「三矢研究」がトラウマ になっていて、軍事戦略がたてられないようです。 ちょっと長いですが、その部分を引用します。 ---引用--P48~P49--- 筆者があるとき、防衛大学校内で、制服の人と安全 保障の問題を語りあっていたときのことだ。その人は 「制服組は三矢研究の影響をいまだに引きずっている。 あれ以降、われわれ仲間内でも腹を割って真剣に 安全保障の問題を議論することはなくなった」と言う。 三矢研究とは、1963年に自衛隊の統幕会議 事務局が朝鮮半島をめぐる有事のときの研究を行った のに対して、社会党の岡田春夫衆議院議員が 65年の衆議院の予算委員会で、「自衛隊の政治への 介入だ、シビリアン・コントロールを侵すものだ」と 指摘し、統幕議長以下が処罰された事件である。 中村龍平元統幕議長は、防衛研究所発行のオーラル ・ヒストリー(2008年)の中で、三矢事件は 「米国が入らないで日本だけで何ができるか」を 研究しようとしたが、総理が怒り、それ以降こういう 研究は公然とはやらないという風潮が、自衛隊に 流れてきた、と述べている。 防衛大で筆者に対して三矢事件に言及した人は、 「議論に勝って、飛ばされるということもありますし」と 発言した。正論が議論の場では通っても、発言者は 議論を扱う部署から追われる。 筆者は驚いて、「そんな台詞、自衛隊の中にあるの ですか」と間いたら、「だって日本中みんなそう でしょう」との答えが返ってきた。 たしかにそうかもしれない。日本では、正しいことを 述べることと「抗空気罪」ではどちらが重視されるか といえば後者である。議論に勝って、飛ばされる。 その警告をもって組織の中で生きるべきかもしれない。 でも何と寂しい台詞だろう。 -----引用終了--- なんと哀しいことに、最先端の軍事関係部署が、 軍事戦略をえがかないとは。 日本は、東西冷戦時代には、ソ連を敵国と想定し、 アメリカとシーレーン構想(石油とかの輸送船をソ連 の潜水艦攻撃から守る)で、P3Cを大量に購入して きました。 冷戦後は、中国や北朝鮮を意識して極東地域の 防衛を主体としてきています。 そして、イラン、アフガニスタン、イラクを対象に 米国の戦略転換によって、日本も追従しているように 思えます。 つまり、日本の防衛については、主体性、戦略性が ないのではないか とも思ってしまいます。 単なる米国の言いなりに従っているだけだと。 沖縄の基地問題、海兵隊の移転問題、そして、増額した アメリカに対する思いやり予算。 先程の小沢一郎氏の案も、著者のこれからの日本が とり得る戦略の3つの中の一つでもあります。 この本は、日米の情報がわかりやすく記述されて おり、日本の防衛の全体の流れ、今回の2+2合意の 問題点、米国の戦略転換がよくわかるものです。 高校生以上でしたら、読了できると思います。 (10/26) 日米同盟の正体 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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