虐待 気づくべきこと、できること
■気になる本 - 虐待 気づくべきこと、できること - --------------------------------------------------------- 「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう)について行う行為として法律では定められています。 「児童虐待の防止等に関する法律」(略して児童虐待防止法)。 観護とは、「監督し保護すること」です。 福島県泉崎村で、2006年7月に発生した、食事を十分に与えず三男(当時3歳)を死亡させ、二男も虐待した事件。 東京から福島に引っ越し、その時の虐待情報が児童相談所の連携ミスがあり、福島県の対応が不備で発生してしまいました。 さて、全国の児童相談所(182箇所)が児童虐待の件数を公開していますが、2000年度に受けた虐待の相談件数は約1万7700件。 (前年より6000件の増加)2004年度は、3万2979件。2005年度は、3万8183件。(2000年度の約2倍) このように、児童虐待は、いまでも増加しておりますし、その実数は、もっと多いのではないでしょうか。 さて、法律に少し戻ります。児童虐待防止法では、虐待の定義を次の4つに絞っております。#1 暴行。#2 わいせつな行為。#3 減食又は長時間の放置、監護放棄。#4 暴言又は著しく拒絶的な対応、配偶者に対する暴力。 その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。 そもそも、この児童虐待防止法は、平成12年5月24日に法律第82号として公布され、その後、6回の改正が行われ最終改正は、平成17年11月7日です。そして、平成18年10月1日に施行されております。http://www.ron.gr.jp/law/law/gyakutai.htm 今年大きな問題になった「いじめ」についても、見方を変えれば、児童から児童への虐待ということもできます。とすると、児童虐待防止法第3条の--------------(児童に対する虐待の禁止)第三条 何人も、児童に対し、虐待をしてはならない。--------------に該当してしまうことになります。 いま、「虐待 気づくべきこと、できること 保健室・医師・弁護士・臨床心理士・NPOから」(全国養護教諭サークル協議会=企画、全養サ書籍編集委員会・渡辺久子・岩城正光・酒井道子・小久保裕美=著、社団法人農村漁村文化協会 発行)を読んでいます。 この本は、各専門家の方が、それぞれの立場で虐待について述べています。 第一章では、「学校で虐待に気づくとき」として養護教諭・臨床心理士からの報告です。 養護教諭は、保健室の先生です。担任の先生に言えない(まして異性の先生が相手だと、その兆候が多い)ことでも、勇気をだして保健室に来た生徒に、さりげなく寄り添うような態度、決して短時間・短絡的に解決するのではなく、児童との心の繋がりをまず確立してから児童の心の中に入っていく手法というものは、時間がかかり、労力も大変ですが、現代の大人にも必要な手法だと思います。 著者は、暴力を加えた人とともに、一緒に住んでいた人も、両方ともケアが必要だ と訴えています。最近は、軽度の発達障害児童が増えてきているので親も悩まずに、まず専門家に相談するのが必要だと述べています。 第二章では、「児童虐待 なにが虐待か、どう支援できるか」として、弁護士の立場からの報告です。 虐待は時代とともに変化してきていること虐待としつけ(体罰)の違い、虐待に対する日本の法制度、弁護士だからみえてきた虐待の実態と支援の道が、わかりやすく述べています。 特に、虐待としつけ(体罰)の違いはなく、また、子供に対する愛情の有無は関係なく、その行為の受け止め方からの違いのみで、本質的には同じもの と法の立場から喝破しています。 そして、親は、子供の養育について、もっと勉強しなければならないことを強調しています。いわゆる親業(親としての最低限の仕事)を身につけてほしいと述べています。 第三章は、「被虐待児のSOSサインとケア」として、医師の立場からの報告です。 子供の虐待のサイン(手の冷たさ、体重、標準的子供の成長曲線等)、虐待の進行レベル、いずれも考えさせられる内容です。 虐待というと、「虐待された子」という烙印を与えてしまい、子供の今後の成長に影響を与えてしまうので、これからは、「マルトリートメント」(マル=誤った、トリートメント=対応)と呼んだほうがいいのではないか と提案しています。 著者は、例えとして「サボテンに水をやり過ぎ」、「水芭蕉に水をやらない」等の誤った対応を例示しています。 第四章は、「虐待をしてしまった大人の立ち直りへの支援」として、NPOの団体が報告しています。 アルコール依存症の大人の事例を参考にしたこと、グループワーク手法を取り入れたこと、等 虐待した人にもケアする方法は、興味がわきます。 各界の専門家が、虐待に対応しているこの本を読んでみて、心強いものが感じます。頼れる話です。 もし、あなたが、何らかの心の葛藤や苛立ち、それらの捌け口として弱者に対して吐き出そうとしているのなら、この本を一読することをお勧めします。 本当に参考になる貴重な本です。(追伸)1月6日の読売新聞、毎日新聞(いずれもネット上)では、自民、公明、民主、共産、社民各党などの衆院青少年問題特別委員会の委員は「児童虐待防止法見直し勉強会」(幹事・馳浩自民党衆院議員)を設置して協議を重ね、改正の方向について大筋で合意したと伝え、3月にも改正案を作成し、同特別委での委員長提案を目指す と報道しています。 青少年特別委員会の委員長は、民主党の小宮山洋子氏。その小宮山洋子氏が、勉強会開催を推進してなんとか法改正を としたようです。馳浩自民党衆院議員のブログに書いてあります。http://blogs.yahoo.co.jp/hase_hiroshi0505/961335/42923896.html また、児童虐待防止法については、活動している方のホームページリンクをお伝えします。これらは、法の不備、原状の問題点を示しています。「児童虐待防止法の改正を準備する会」http://www.geocities.jp/empowerment9center/kaiseijunbikaihou.htm「児童虐待の防止等に関する法律」の見直に寄せてhttp://www.hinolaw.jp/info2/backno/legal02.htm(1月8日)渡辺 久子, 酒井 道子, 岩城 正光, 小久保 裕美, 全養サ書籍編集委員会, 全国養護教諭サークル協議会虐待 気づくべきこと、できること―保健室・医師・弁護士・臨床心理士・NPOから