(3)指揮棒について
『指揮法に絶対はない』.....と思う。いわゆる‘指揮法のメトード’一つとってみても、日本国内や海外において「これ」というものはなく、国によって、指揮者や指導者(大学)によって大きく違い、したがって私の指揮講座に記したものも、やはり参考であって、これらをどう採用するかは読者の判断に委ねるしかない。先にも書いたが、とりあえず私の‘経験’や‘学んだこと’を中心に綴っていくことにする。以前私は、指揮棒を自分で作っていた。日曜大工の店舗に行き、あれこれと材質やコルクを吟味し、自分の気に入る太さ、長さ、持ち手を工夫し、徹夜までして作ったものであったが、翌日、出来たての新品の指揮棒を譜面台の先に引っかけて折って以来、それに懲りて既製品の指揮棒を使用するようになった。メーカーや商品名を出すのは少々抵抗があるが、今は、「MURAMATSU BATON Pro Model Series PK557」を使用している。・材 質…もちろん木製。今流行のカーボンはバランスが悪く、また、 傷ついた棒が‘ささくれ’のようになり、その小さい痛いトゲが 刺さったこともあり、今はその材質の物は決して使用しない。・持ち手…コルクの部分は、PK557のものはかなり大きめである。 これは指揮棒の持ち方にもよるが、小さいと私の場合には持つ ときに力が入ってしまい、あまり好ましくない。・サイズ…長さは、どこかの教典にも書いてあったが、コルク部分を入れ、 私もほぼ自分の上腕の長さ。短めの指揮棒を使う人も多く見かけるが (後に記すが)かえって指揮棒の先を使えなくなるので、 使用しない方がよいと考える。・その他…色は白を使用。(演奏者から見えやすいので) もちろん、木の色のもOK。あまり細いと、指揮棒自体ブレて みえるのでこれも好ましくない。