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2019.09.08
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プロのつぶやき1019「さかもとこーひーの焙煎26年を振り返る」

朝晩は涼しい千葉ですが・・・昼間の日差しが厳しいこの週末です、なんだか台風が千葉を直撃しそうです。千葉は大きな山も川も無くて、さらに台風は直撃しそうでしなくて・・・大きな災害があまり無いのんびりした土地なんです。海で魚取れるし、海苔もアサリもあるし・・・畑も田んぼもあって・・・戦後の集団就職の時すぐに帰ってしまう人が多かったそうです。電車でも近いし・・・帰ってもなんとか食べられるし・・・根性あんまり無い感じです。

自分自身振り返っても・・・あんまり欲望なくて、のんびり幸せに生きられればいいかなぁーと・・・人を押し分けるとか、会社を大きくするとか、ビッグになるとか、ハングリーな感じが弱いですね。

昨晩は山下達郎NHKホールに行ってきました・・・達郎の声が最近で一番の調子良さで・・・パワーも艶もあって、バンド良し、歌良しでご機嫌でした。NHKホールの2階席前方で音も良くて・・・このNHKホール2階席に座ると・・・ブレンドがイメージできてしまうんです。

「デイドリーム」や「ターナー」がコンサートで聴いていてブレンドが出来てしまいましたが・・・昨日もある曲を聴いていたら1曲のあいだにブレンドのイメージができてしまいました。難波さんのピアノ、達郎のギターと歌、宮里君のサックスで浮かんだんです(笑)

そんなこんなで・・・今日は「さかもとこーひーの焙煎26年を振り返る」を書いてみようと思っています。

まず、焙煎と言っても・・・さかもとこーひーのこーひーのための手段でしかありませんから・・・目的がはっきりしています。さかもとこーひーはビーンズショップで「こーひーのある暮らし」「ホームこーひー」「ホームタウンこーひー」を基本にしていますので・・・クオリティの高い素材を使って・・・過不足の無い焙煎をすれば・・・家庭でコーヒーメーカーでも、ハンドドリップでも、カフェプレスでも・・・難しい抽出技術が無くても・・・安定してこーひーの魅力を楽しめるってことです。

コーヒー淹れるのに手間をかけられないレストランでもカフェでも同じです。

勿論、熟練したバリスタさんが淹れれば・・・安定したエスプレッソやラテがピンポイントの魅力で味わえるでしょうし・・・牛乳他で色々とアレンジしても、そのアレンジドリンクが際立つでしょう。

19歳で喫茶業に入って45年・・・自家焙煎に興味を持ったのが20歳の頃でした。その頃働いていたフルーツパーラーのチーフが「月刊喫茶店経営」柴田書店を教えてくれて、読み出したら、自家焙煎の有名店が時々載っていて、都内の自家焙煎店を回るようになったんです。

最初に銀座のランブルでコーヒーを美味しいと思って、吉祥寺もか、本郷和田珈琲、日本堤バッハ、早稲田あんねて、高円寺さわやこおふぃ・・・順番にたくさん行きました、そうそうその頃チェーン店で元気だったポエムにも通いました・・・大阪や神戸にも行きましたね。

その後、紅茶の店テ・カーマリーで独立して、2年3年後には銀杏煎る手網で週に4日5日焙煎してました。1回200g、ガス台の周りにアルミの天ぷらガード立てて、エアコンの風を避けて、火力は全開、内側に目盛りを書いて、その距離で火力コントロール、何センチで何分と記録つけて、分からないなりにテイスティングして、仮説検証の繰り返しでした。

これで、焙煎による豆の変化、色、香り、煙、大きさ等々身につきましたね・・・その後スペシャルティコーヒーのサンプルローストする時にも役に立ちました。紅茶の店だったので、コーヒーは一日5杯10杯、手網焙煎で間に合ったんです・・・これを8年間くらい、週に4日5日くらい開店前や閉店後にしてました。

焙煎見学を何回かしましたが、焙煎機の操作に慣れるだけで、他はほとんど役に立ちませんでしたね・・・なぜそうするのか?質問しても明確な答えが返ってきませんでした。バッハの焙煎講座で価格の根拠を質問したら軽くスルーされて・・・自分で調べ考えるようになりました。

そして・・・自家焙煎さかもとこーひー開店で、ローヤルの5キロを設置して、はじめて焙煎機で焙煎したようなものですが、数回焙煎で基準を掴んで、あとは豆毎に調整するだけ・・・手網焙煎が役に立ちました。

で、富士ローヤル5キロでの焙煎機による焙煎がスタートしたのですが、ここでも、記録して、カッピングして、検証する繰り返しでした。

自分の味覚以上の美味しさは作れないというのがベースなので、常に自分の味覚レベルをレベルアップすることが大切です・・・素材を知ること・・・焙煎は効果的な基準を作って、仮説検証の繰り返しです。

ボトムとか中点とか言いますが、豆投入してから温度が下がります、その温度が効果的なのか?・・・水分抜き工程は何度から何度で計測するのが再現性あるのか?・・・焙煎工程は何度から何度で計測するのが再現性あるのか?・・・再現性のある基準を見つけて、さらにバージョンアップする繰り返しでした。

特に20年くらい前にスペシャルティコーヒーの素材に出会ってからは・・・それまでの基準では良かったりそうでもなかったり・・・ブレを感じて・・・それまでの素材だとポテンシャルがそこそこなので、ブレてもそのブレが大きな影響を与えていなかったのが・・・スペシャルティコーヒーになると・・・少しのブレで結果が違ってしまいました。

再現性が弱いということは・・・基準が的確では無いと考えて・・・的確な基準を求めて仮説検証の繰り返し・・・3-5年かかりました。特に排気の強さの影響や・・・水分抜きの違い・・・ボトムの温度や火力による表面焼けの影響・・・そして、ロースティング工程のカロリーによるデベロップの違い・・・ロースティングポイントは1℃単位で比較しやすいからシンプルです。

2012年1月に今使っているプロバツト12キロに変えました・・・プロバットの気に入っているところは、安定性再現性が良くて、ブレにくいのと、

断熱が良くて夏の暑さが楽なのと、焦げにくい、勿論火力強めれば焦げますが、焦げる火力を見つけてその直前の火力で焙煎すると焦げずに深く焙けます、クリーンな深煎りになります・・・そんなところです。ただ、焦げの深煎り好きなお客さんには物足りないようですが、それは仕方がありません、他店をお勧めしています。

輻射熱、接触熱、熱風からの熱等々のバランスもよく考えて設計されていると思っています・・・時々、焙煎機の半分が適正な焙煎量とか聞くことがありますが・・・5キロなら5キロ、12キロなら12キロ焙煎できるように設計されていますから・・・その人の焙煎だと半分が適正ということで・・・他の焙煎手法ならまた違ってくるということでしょう。

さかもとこーひーは5キロ焙煎機の時は5キロ・・・今は12キロ焙煎機で10キロ焙いていますが、もう少し焙煎量増えたら12キロで焙煎しようと思っています。

ただ、焙煎のキロ数を変えることはありませんね・・・常に一定の焙煎量で焙煎するようにしています・・・焙煎が安定してブレにくいです。安定しないと、少しずつステップアップしていきにくいんです。ブレていると、そのブレからクオリティアップ出来ないです。

スペシャルティコーヒーになって素材がクオリティアップして、プロバツトで再現性が高まることによって、素材のポテンシャルを生かすためのよりシビアなコントロールができるようになりました。

ボトムの温度、ダンパーの排気量、水分抜きのちょうど良いタイミングからロースティング工程に移る火力、深煎りの焦げない火力と明確になると焙煎はシンプルです。

そうそう、その前に焙煎ってどういうこと?これが自家焙煎店を回りはじめてからの疑問でした。

40年くらい前に、月刊喫茶店経営の中で、銀座のカフェドランブル関口さんが「焙煎はカラメル化」ってことを仰っていて、なるほど、でもカラメル化だけでは無いよな?とそれからも疑問でした。

最初にコーヒーを美味しいと思ったのがランブルだったので、ランブル関係の記事が楽しみでした。「銀座カフェ・ド・ランブル物語」森尻純夫著の連載に、ランブルの焙煎が生き生きと書かれていたので、毎月楽しみにしてました。その後単行本になったら即買って何度も読み返しました。あと、その頃ランブルで焙煎していた山田さんの手網焙煎の記事もあって、手網焙煎するお手本になったものでした。

あとは、バッハ田口さんが全国の自家焙煎店を行脚する連載も楽しみでした。各店の違いや情熱が伝わってきてワクワクしたものです。吉祥寺もかの標さんの記事は上手に隠しているのか、現実に取り入れられるものが少なくて残念だった印象があります。

自家焙煎店で働いたことが無くて、自家焙煎の師匠がいませんので、自分で考えるしか無かったのです。

深煎りメインの自家焙煎店としてある程度納得の焙煎が完成してきた時、スペシャルティコーヒーという農産物として理想的な素材があると知ったのです。20年くらい前になりますが・・・それで待ってましたと、飛びついて、アメリカのカンファレンス行ったり、産地行ったり、その頃の仲間と輸入したり、カップオブエクセレンス落札したりして、スペシャルティコーヒーの素材を使えるようになりました。

すると、それまでの焙煎ではブレを感じて、より緻密なメソッドが必要になりました。同時に検証はカッピングでしますから、カッピングレベルを上げないと焙煎のレベルも上がりません。

ボトム、ダンパーの排気スピード、水分抜き、ロースティング工程、ロースティングポイントと、カッピングと擦り合わせてバージョンアップしてきた26年です。

そうそう、焙煎とは?・・・乾熱調理であるって考えた時はすっきりしましたね。調理の本を読んでいて・・・湿熱調理と干熱調理に分けられると。干熱調理は・・・カラメル、ディープフライフレーバー、メラノイジンが特徴であると。

もう一つは農業の本を読んでいて、あんまり専門的な本は詳しすぎるし、家庭菜園レベルだと土いじりしないし(笑)欲しい情報が足らない。で、八重洲ブックセンターとか農業のコーナーを定期的に回って、お米や果樹栽培の名人の本を何冊か見つけて、とっても参考になりました。土作りや剪定の話しが良かったですね、勿論光合成も。この知識で産地に行った時に随分と見る目が変わりました、勿論、カッピングにも影響しました。

で、結論は基準作りとカッピングの繰り返し。

焙煎見学は年に数名で、継続的に焙煎のサポートしている人が10名くらいです・・・きちっと焙けるようになると、素材の良し悪しが明確になるのが驚きのようです。焙煎甘いと素材のポテンシャルがきっちりと出ていないので、クオリティの差がボケるんです。特に酸のクオリティが分かりにくくなりますね。

若い人からエスプレッソのカッピングが難しいと聞かれるとまず、濃度があるので慣れが必要、それとマウスフィールの質感のカッピングをトレーニングする必要あるので、ペーパードリップのコーヒーをいくら飲んでも上達しないと伝えています。

今度は・・・「さかもとこーひーのブレンド26年を振り返る」を書いてみようと思っています。

ジャズのベーシストの納浩一さんが・・・アコースティックベースを演奏する上での、どうしたら耳がよくなるか?というテーマで・・・アンサンブルと気持ちよくハモる音程をとる意識・・・ベーシストの多くはリズムセクションとしてリズムのトレーニングはたくさん積んできているでしょうが・・・アンサンブル全体におけるハーモニー感覚をどれほど意識して、トレーニングしているか?・・・そんなこと書いていて・・・さかもとこーひーがブレンドに対して意識しているのと一緒で嬉しくなりましたので・・・今まで書いても話してもいなかったけど、実はブレンドのカッピングの時に意識していたことを書いてみようと思っています。

さかもとこーひーは「部屋中にひろがる香りと後味の美味しさ」を大切にしています。









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Last updated  2019.09.08 09:35:54
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岡田昌徳@ Re:プロのつぶやき1223「27歳で最初の独立」(08/13) 色々あったけど、純粋に懐かしいですね!…
はじまりの春@ Re:「はじまりの春」(03/23) はじまりの春の知りたいことは、089624445…
ハンサムクン3714@ Re:プロのつぶやき1040「技術と成熟」(02/02) はじめまして。勝手に訪問させて頂いて、…
Mikye 市右衛門@ Re:プロのつぶやき896「ターナーのペアリングレポート」(04/23) ブログ読ませて頂きました。今度お伺いし…

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