炎炎ノ消防隊
炎炎ノ消防隊のご紹介です。前から気になっていたのですが、電子書籍で無料版があったので読んでみたらハマりました。アニメ版の最終章が始まったみたいですね。【中古】炎炎ノ消防隊 コミック 全34巻セット(コミック) 全巻セット【あらすじ】舞台は人々が突如燃え上がる「人体発火現象」に怯える世界。発火した者は自我を失い暴れ続ける「焔ビト」になってしまいます。そして焔人を鎮魂し人々を救う任務を帯びた特殊消防隊。12年前の火事で母と弟を失った少年森羅日下部(シンラ クサカベ)。彼は火事の真相を突き止めるべく特殊消防隊に入隊するのでした。※本記事はネタバレを含みます。【情報の大盤振る舞い】本作を読んで、読者へ与える情報管理が上手いと思いました。「人為的に焔ビトを造っている者たちがいる」「実は弟は生きていて、しかも敵側に居る」といった情報が割と序盤で明らかになります。そういった情報がキャラクター間でも結構早く共有されて、どんどん物語が進んで行きます。並みの作品ならば数巻引っ張る情報を惜しげもなく放出し、そのうえでさらに物語に弾みをつけていました。次はどうなるんだろうというワクワク感がすごい作品でした。【知的な戦い方が面白い作品】本作は不可解な行動をすることで相手に深読みさせて退却させる等、ガチンコバトル以外の戦いも面白い作品でした。また暗闇に潜んでいる敵に対して強烈な砲撃をしてソニックブームで倒す、ビルの谷間風と能力者の力を使って火炎旋風を起こして敵を巻き込むなど、SF要素がふんだんに盛り込まれていて面白いです。中でも時を止める能力について科学的に解説があるのが興味深かったです。説明を何度読んでも理解できませんでしたが……相対性理論という単語を久々に聞きました。空想科学読本で色々検証したら面白いかもしれませんね。【おふざけとシリアスと】本作はともすれば重くなりがちな内容ですが、随所におふざけが入っていて楽しいです。大抵おふざけが入るとテンポが悪くなるのですが、そうならないさじ加減が絶妙で、物語に緩急がついて良いと思います。印象深かったのがvsアサルト戦でした。ただのお笑いエピソードかと思いきや、終盤でもう一戦あるとは思いませんでした。ギャグっぽい戦いでありながら、顔も名前も分からない「みんな」の印象で個人のイメージが作り上げられてしまう恐ろしさがさりげなく描かれていたように思います。そんな「炎上」も消し止めるとはさすが消防隊ですね。本作のキーワードにドッペルゲンガーという存在が出てきます。表裏一体の異世界に存在するもう一人の自分であり、ドッペルゲンガーは周囲の印象によって形作られているという設定でした。本作きっての狂人黒島のドッペルゲンガー戦が面白かったです。確かに黒島は狂人ですが、その彼が「私はそんな風に思われてるか」とあきれる程本人とは違う性格になっているのが「みんな」の印象って怖いなと思いました。まあ黒島も正真正銘の変質者とか言われてましたが……他にも結局のところ世界の方向を決めているのはその他大勢のモブではなく、ごく一握りの選ばれた人だというシビアな現実などもさりげなく描かれているのが味わい深いですね。【個性あふれるキャラクター達】本作は個性的でかなり濃いキャラクターが目白押しで味わい深いですね。個人的に好きなキャラを列挙します。森羅 日下部(シンラ クサカベ)本作の主人公です。「俺に兄などいない」という象に対して、急にお兄ちゃんだなんて言ってもそうだよなみたいな、冷静で自分の想いをグイグイ押し付けない所が好きです。光速を超え粒子化したシンラとすれ違うことで、象がシンラの想いを知るという演出が良いですね。秋樽 桜備(アキタル オウビ)我らが第8特殊消防隊大隊長です。悪魔と呼ばれ避けられていたシンラもごく自然に受け入れる懐の深さはまさに隊の精神的支柱ですね。ポージングで蟲を防いでいたシーンは腹を抱えて笑いました。アレはどこまで真剣だったんだろう……ヴィクトル・リヒト第8特殊消防隊に潜り込んだスパイですが、割とあっさり馴染んでしまいました。こういったキャラは手痛く裏切ったり死んだりするのですが、第8の一員になれて良かった。戦闘能力は皆無ですが、彼の知性はいくつもの危機を打開しました。こうした知力系のキャラがしっかり活躍してくれるのは嬉しいですね。ヴァルカン・ジョゼフ第8特殊消防隊の技術者です。第8の戦力をバージョンアップさせ、マンガ的に言うと戦闘シーンのマンネリ打破に貢献しました。vs Drジョバンニ戦では、因縁が深いだけに相手の性格を読んで司令塔の蟲はメカだろうとあたりをつける所が技術者らしくて良いですね。ヴィクトルと並んでこうした裏方キャラが活躍するのも本作の魅力ですね。レオナルド・バーンズ今さら生き方は変えられぬと言いながらも、時代を変えようとするシンラたちの登場を喜んでいるような姿が印象的でした。今まで世界を背負ってきた自負と、新しい時代への希望を感じました。新門 紅丸(シンモン ベニマル)出番の多さも質も、段違いに主役級です。もう一人の主人公といっても過言ではないのではないでしょうか。カロン個人的には一番好きなキャラクターです。他の白装束たちが伝道者の意志にしたがって滅亡を望んでいたのに対して、彼はハウメアを救うために滅亡を望んでいたというのが何とも印象深かったです。※結末に関するネタバレがあります。【僕らは命の火が消えるその日まで歩いてく】ラストバトルは絶望vs希望という形になりましたが、着地のさせ方がとても良かったと思います。再構築した世界では命の重さを軽くすることで、かえって皆その日を精いっぱい生き、精いっぱい楽しむようになりました。その結果絶望を抱く者が減り、聖女も救うことができました。さらに第1話で焔ビトになってしまったおじさんとか、ありとあらゆるキャラクターたちも復活していました。ちょい役も含めて犠牲者を出さずに物語を着地させるのはさすがヒーローですね。テンポの良い物語と知的な雰囲気のするバトルが面白い作品でした。よかったらクリックお願いします。にほんブログ村