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サカナ男爵の本とゲームにおぼれて

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2024.08.04
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カテゴリ:小説・ノベル
そこに無い家に呼ばれるのご紹介です。
本作は幽霊屋敷シリーズの3作目です。

そこに無い家に呼ばれる/三津田信三【3000円以上送料無料】


前作「わざと忌み家を建てて棲む」の記事はこちら。


※本記事はネタバレを含みます。
【あらすじ】
作家をしている僕(たぶん三津田さん)は、懇意にしている編集者の三間坂秋藏(みまさか しゅうぞう)から新たな怪談を提供されました。
前回は自身も怪異に見舞われた両名ですが、今回も懲りずに怪異へ足を踏み入れたのでした。


【3つの怪異】
あの家に呼ばれる 新社会人の報告
新社会人である体験者は兄夫婦が転勤して留守になるため、兄の家に住むことになりました。
隣は家が建っておらず、空き地になっていました。
ある夜酔っぱらって帰ると、空き地のはずの隣に家が建っています。
不思議に思って近寄ると……

かなり長いお話で、この本の半分以上を占めています。
とんでもない怪異が起こるわけでもありませんが、常にまとわりつく不気味さが気持ち悪いですね。


その家に入れない 自分宛ての私信
引退間近の医者(研究者?)の女性が奇妙な場所に住むことになりました。
そこはどこからどう見ても更地なのですが、近所の人や不動産業者に至るまであらゆる人が、そこに家があるように振る舞っています。

どう見ても更地なので体験者はテントを張って暮らすのですが、隣人たちは相変わらずそこに家があるかのような反応をします。
はたしておかしいのは自分なのか、隣人たちなのか……


この家に囚われる 精神科医の記録
とある精神科医による、印象的な患者の記録です。
奇妙な患者の顛末とは……



【定番の考察】
前回あんな目に遭ったのに、シリーズ定番の考察が今作も健在です。

面白かったのは時系列に関する考察でした。
小説に収録されているのは
1、あの家に~
2、その家に~
3、この家に~
ですが、時系列は1、3、2なのではないかというものです。

3に出てくる患者は1の体験者で、彼を治療していた精神科医が怪異を調べようとして体験したのが2なのではないかと。

奇妙な家にまつわる怪異がそう幾つもあるとは考えにくい。
本書に収録されている怪異は全て同じものを示しているのではないかというのです。

1の体験者の言葉から彼は建築関係の人間ではないかというものや、近所の住人の年齢等から時系列を推察するのがさすがでした。



【ずれていく】
本シリーズの装丁は谷川千佳さんのイラストを使っています。
1作目と2作目のイラストでは、女の子の人数と目の数が1つ増えていました。
三津田さんが気に入ったイラストを採用したので特に意図は無かったそうですが、気味の悪い符合でした。

本作の装丁に使うイラストもある程度決めていたそうですが、それは3人の人物が描かれたものだそうです。
さすがに気味が悪かったのか、本作のイラストは違うものになっていましたが……



本シリーズは今のところ3作出ていましたが、全5作を考えていたそうです。
題名は
どこの家にも怖いものはいる
わざと忌み家を建てて棲む
そこに無い家に呼ばれる
こんな家で寝ると病む
あれが僕の家に来る
だそうで、1文字ずつ減っています。

さらに1作目には5つの怪異譚が収録されていますが、2作目が4話、3作目は3話収録され、1話ずつ減っています。
「僕」は特に意識してやったわけではないそうです。

そのうえこのシリーズを手掛けるようになってから「僕」や三間坂の周囲で人や物などが1つずつ減っていったそうです。



本編の周囲でこうした怪異が起こっているというのも気味が悪いですね。
はたしてこれは作者の仕掛けなのか、何者かがそうさせたのか……
皆さんも身の回りで何かが「一つずつ減っている」と感じたら読書を中止してください。
幸い吾輩の周りでは何もありませんでしたが……



どこの家にも怖いものはいる【電子書籍】[ 三津田信三 ]
1作目「どこの家にも怖いものはいる」の紹介記事はこちら。



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最終更新日  2024.08.04 20:00:08
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