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火喰鳥を、喰うのご紹介です。
火喰鳥を、喰う【電子書籍】[ 原 浩 ] 【あらすじ】 信州で暮らす青年久喜雄司の身に奇妙な出来事が起こります。 久喜家の墓石刻まれている大叔父貞市の名前が削り取られていました。 そして太平洋戦争末期にニューギニアで戦死した貞市の日記が発見され、遺品として久喜家に送られて来ました。 その日記には過酷な戦場の様子と、凄まじいほどの生への執着が記されていました。 やがて日記には発見時書かれていなかった「ヒクイドリヲ クウ ビミ ナリ」という言葉が書き込まれていました。 それからというもの雄司の身の回りで不気味な出来事が頻発するようになり、妻の提案で超常現象に詳しい知人を訪ねることにしたのですが…… ※本記事は結末を含むネタバレがあります。 【逆宣伝効果】 最後まで読みましたが、途方もなく後味の悪いお話でした。 もちろん後味の悪い話もありなのですが、なぜここまで厭な気分になるのかと思いました。 恐らく怪異の動機が極めて利己的なものであり、全てが黒幕の思惑通りになっていくのが厭だったのかなと思いました。 特に最後、恋人を連れてしゃあしゃあと姿を現す所なんか本当に厭でした。 本作は10月から劇場版が上映されます。 観に行こうと思っていたのですが、原作読んだら行きたくなくなりました。 すごい宣伝効果だ。 【技巧が優れた作品】 結末は好みが分かれるかと思いますが、技巧はすばらしい作品でした。 物語は「貞市が戦死している世界」と「貞市が生還している世界」の生存競争で、敗れ去った主人公の世界を中心に描かれています。 これが相手側の視点で描かれれば「貞市おじいちゃんを怪異から守った! やった~!」みたいな物語になっていたと思います。 あるいは両サイドを均等に描いていれば、2つの世界が決して両立できず、どちらかが消えるしかないという切なさを演出できたと思います。 にもかかわらずあえて主人公側を中心に描くことで、後味の悪さが際立っていたように思います。 読んでいて途中から「なんかひどい結末になりそうだな~」と感じるのですが、それでも続きを読んでしまう魅力がありました。 本作は作者のデビュー作とのことですが、デビュー作でこれほど読ませる作品が書けるのはすごいなあと思いました。 本作は結末については好みが分かれると思います。 また結構グロテスクな描写もあるので読むには注意が必要ですが、読むことをやめられなくなる粘ついた魅力のある作品でした。 よかったらクリックお願いします。 にほんブログ村 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2025.09.28 20:04:57
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