源氏物語とみやび
栃木県佐野市立吉澤記念館の企画展、源氏物語とみやびを観て来ました。朝廷文化が花開いた時期の美術に焦点を当てた企画展です。本日最終日でした。【第1室 朝日森天満宮の宝物】朝日森天満宮は菅原道真公を祀っています。また、朝廷から東照宮へ向かう使いであった例幣使が盛んに通っていました。その道すがら、道真公の絵を奉納する人が多かったそうです。道真公が周囲から妬まれ左遷されてしまったこともあり、初期は怒りの表情をたたえた絵が多くありました。やがて穏やかで威厳のある絵が増えて行った流れを観るのも面白かったです。【第2室 吉澤コレクションの工芸 板谷波山と山本茜】第2室は吉澤記念美術館の所蔵品と、現在も活躍中の山本茜さんの作品が展示されています。山本さんは載金ガラスという表現技法で、源氏物語の各帖を立体作品にすることをライフワークにしています。山本さんの作品は撮影OKになっています。第一帖「桐壺」金細工が印象的な作品です。第五十四帖「御法」源氏に愛された紫の上の臨終シーンを描いた作品です。苦しみの多かった彼女の魂が天に昇っていく様子が表現されています。第三十三帖「藤裏葉」(光の道)源氏は帝の子でありながら源姓を与えられ臣下となっていました。そんな彼も苦難を乗り越え天皇となります。一段一段昇り詰めていく様子を描いた作品です。第五帖「若紫」源氏最愛の人紫の上(若紫)の初登場シーンを表現しています。ふくら梅当館の所蔵品で、今回初展示の作品です。二人静静御前の霊が乗り移った女性と、静御前自身の霊が舞いを舞うシーンです。この世とあの世が混じり合った美しさを感じさせる作品です。【第3室 源氏物語とみやび -吉澤コレクションを中心に-】第3室では源氏物語に関する作品が展示されています。小さな絵がたくさん描かれている屏風があり、各絵はQRコードを読み取ることでアップで観られるようになっています。【第4室 巻物とものがたりをたのしむ】第4室では朝日天満宮所蔵の竹取物語や、吉澤記念美術館所蔵の菜蟲譜が展示されています。本展は貴族文化が隆盛した時代の美を集めた企画展です。後の鎌倉時代からしばらく続く武家の文化とはまた違った、みやびな美しさを味わえる企画展でした。よかったらクリックお願いします。にほんブログ村