3/4 西伊豆釣行 +拾ったり掴んだり
ほぼひと月前になってしまうが、珍しく伊豆まで釣りに行った話。いつものT氏とS君に誘われて、適当になにか釣りにいこーぜとなった。(車はS君が出してくれた。感謝。)当初は熱海あたりにでもという話だったが、この時期魚影が薄いので少しでも何かいそうな西伊豆まで足を延ばすことに。3月は釣れないんだよね…。最初の漁港。…が、足元を見ても魚影はまったくない。こりゃダメかー、伊豆まで来てもこんなんか…と思っていたら、何やらS君が河口の干出域でハゼっぽい魚を見つけたらしいので向かうことに。水深は5㎝もなさそうな真水が流れこむ場所。確かに岩をどけたりすると何かハゼっぽいものが出てくる。たぶんミミズハゼだと思うけど、ちょろちょろと動き回るそれを手づかみで捕まえていった。種類は…わからない。どれかは確実にノーマルだと思うけど、なんか違う感じのがいるので別種なんだろうな。ノーマル以外に河口域を好むミミズハゼって何がいるんだろう。しばらくたわむれた後「何しに来たんだっけ…」と我に返りながらも釣り糸を垂れてみる。当然何も釣れないんだけど。というか、アタリがない。ポイントは付近に点在しているようなので移動することに。次に来た漁港は、静かで付近に建物などもあまりない場所だった。夏休みを過ごすならこんなところ、というような。ノスタルジーを感じる。よくよく見ると、海底にはミドリイシなんかのハードコーラルやサンゴイソギンチャクがぽこぽこ生えている。伊豆に来ることはほとんどないので改めてすごさを感じる。こりゃみんな来るわけだ。自分は若干休憩してからにしようかと思っていたのでT氏とS君が先行して釣りをしていた。後々様子を見に行くとベラが結構泳いでいるらしい。と、すぐにT氏が釣り上げたのはなんとオトメベラ!しかもかなりでかい。こうしちゃいられんと急いで自分も準備をする(オトメベラ未採集マン胴付き仕掛けにオキアミを。オモリ代わりのブラクリにはイソメ。鉄壁の布陣、勝ったな。さーオトメベラくんおいで~と集まってきた…まではいいものの、どうやら餌の匂いを嗅ぎつけたその他大勢が妨害を始めた。クロホシイシモチにササノハベラ、スズメダイ…いや君らも嫌ではないんだけど違う、違うんだ。深いところに巨大なゴロタ帯があったので、ブラクリをそこに落とすようにしてみるとおー、カサゴ?ちっちゃいけど。なんかやたら赤くて綺麗。お腹ぽっこり。てかこれウッカリカサゴかも。成魚は沖合の深場にいるが幼魚は浅い場所にもいるらしく、カサゴの幼魚に混じっている可能性がありそうな種類。カサゴにしては白い斑点がはっきりしている(縁取りがある?)し、側線の上を沿うような並びも見られる。地味にレア…なのかな。その後はもうベラにキンギョのオンパレード。アカササノハベラの雌相。眼の下の線が胸鰭に向かってクッと曲がっている。こちらはホシササノハベラの雌相。眼の下の線はクッと曲がらず、少し上を向く。アカササノハベラとホシササノハベラが同じ場所で釣れたが、前者は深く波の荒い場所、後者は浅く穏やかな場所を好む傾向があった気がしたのでどちらが多く釣れたか見ておいた方が良かったかもしれない。ホシササノハベラの雄相。線がやや曲がっている気もするが…。少なくとも雄相でこうもはっきり白斑が出るのはホシの特徴なはず。茶色いし。アカはピンクと黄色のグラデーションぽくなり、細かい模様は見られない。クロホシイシモチ。通称キンギョ。おびただしい群れが海底付近に見られた。仕掛けを入れれば瞬時に寄って来る。一昔前はよく似たネンブツダイもそこそこいたような気がするが最近クロホシイシモチが優占している気がする。どこ行った?ネンブツダイ。そしてついに…うおお釣れた!キンギョを回避し、ササノハベラの猛攻を潜り抜けようやく釣れたオトメベラ。暗めな体色で見にくいけど、マジですんごい模様してる。色もギラギラで、関東東海にいる魚とは思えない。ニシキベラよりすごい。でもまあこいつらが越冬して成魚まで出てくるようになったのはここ何年かの話なんじゃないかね。相模湾にもたまにこれくらいのいるし。。ひとまずオトメベラが釣れることは分かった。次は相模湾でもリベンジだ。釣れることは先ずないが漁港内にホンソメワケベラがちょこちょこいた。漁港で見るの初めてかもしれん…。幼魚も成魚も、色んな魚をクリーニングして回っていた。ひとしきりベラとたわむれたところでまたまた移動。少し曇ってきて肌寒くなってきた。ここは足元がドン深になっていて色んな魚がいそうなところ。とはいえさっきの漁港と特に魚種が変わることもない。ベラ、キンギョ、ベラ、キンギョ…アカササノハベラの雄相が釣れた。これはかなり色が出てきている個体。これよりさらに大きいものはサイケデリックなカラーになる。こうして見るとカッコいいな。T氏が小さいオオモンハタを釣った。かわいい…こういうのもっと釣れるかなと思ったんだけどなあ。横に長い漁港だったので移動しつつ釣りを続けていく。特に釣果も振るわないまま時間を過ごしていると、どこへ行っていたのかS君が小走りでやってきた。「あっちにめっちゃ面白いのいましたよ!(笑)」と興奮気味に話すので何がいたの?と訊いたらなんとミズウオが流れ着いていると!はあ!?マジで!?漁港横に流れている小さな水路。覗いてみるとうわあマジじゃん!ミズウオ!初めて見た…さすが駿河湾。こういうこと起きるんだ。3人で連携し、水路の上まで上げてきた。ミズウオは深海魚だが時折浅瀬に打ち上げられることがあり、ここ駿河湾沿岸では冬季にそこまで珍しくもない現象だ。ただ相模湾…というか他の海ではなかなかない光景だろうと思う。一部のマニアはうち上がったミズウオを観察するために夜中の海岸を練り歩くらしい。というのも日が明けると鳥が打ち上がった魚を食べてしまうため、夜中にわざわざ探す必要があるのだが。この個体はなんと綺麗なんだろう。一部食い破られた箇所はあるものの日中でこんな綺麗な状態なのはかなり運がいい。銀色の体は複雑な光沢を放つ。ミズウオは手当たり次第なんでも食べてしまうため、マニアは胃内容物を解剖し観察する「ミズウオガチャ」なるものを嗜んでいる。中には生き物ですらないゴミを食べていたり、なかなか見られない珍しい深海魚を食べていたりするからだ。のだが、この個体に関しては解剖の必要がなさそうだ。ちょうど中が見えるように破けていて、丸呑みしたであろうシロサバフグが見えている。丸呑み以外はできなさそうな大きな口、巨大な牙は獲物を絶対逃がさないといった確固たる意志を感じる。(当たり前だけど)顎の先端と奥では歯の形が違うようだ。こんな牙を持った魚はミズウオ以外にはいないだろう。実にカッコいい。重くて全身は持って帰れなさそうだったので、頭だけ骨格用に持ち帰ることにした。フグでもなんでも食べるため、肉は無毒である保証はなく今回は食べるのは諦めた(クソまずいらしいけど逆に気になる)。脊椎骨がまるでナタデココのようで、ハサミで簡単に切断できた。なんだこの魚…。その後は釣りを再開したが、カサゴたちが出てきたくらいだった。でも虫ヘッドでまともに根魚が釣れたのは初めてだったので結構嬉しかった。カサゴカッコいいし好きだし。とまあそんなこんなで夕方になってきたので終了することに。ミミズハゼ掘ったりミズウオ拾ったりで、何してたのかよくわからない釣りだった。楽しかったけどね(笑)西伊豆は車がないときついので、S君のおかげで今回は本当に助かりました。またいつか機会があれば行きたいな。おまけ持ち帰ったミズウオの頭骨を取り出す作業。あの肉質、骨からして熱したら確実に溶けるのでまずは自力で除肉する。ある程度除肉したらパイプユニッシュで肉を溶かしていくんだけど、ここでも念のため水で薄めて短時間浸けておくことにした。水でよく洗い流したのち、気になる部分を除肉しては薄めの塩素に浸け…を繰り返し。乾燥前にできたのがこれ。知ってはいたけどすごいクリスタル。この状態で保存出来たらどれだけいいことか。とまあ流石にこのままではいけないので乾燥させる。ここまでで臭いはほとんどなかった。やはり鮮度が良かったからだろうか。乾燥させて、はい完成。うーん、文句なしにカッコいいな。所々歯が折れちゃったりしたけど。ものすごく骨がぱりぱりしてポテチより脆いので、ケースを買ってきてやらねば。