Ｂｕｒｎｉｎｇ　Ｒｅｄ

ようやく読了。
―――長かった。本当に長かった。

もともと京極夏彦氏の小説ってのは、様々な思惑を秘めた多数の登場人物の視点が交錯していくもんだから、読む事によって全体像を俯瞰しているこちら側からすれば、登場人物たちのそれぞれ自分の持っている、知りうる情報のみを根拠として行動している姿がもどかしくて仕方なかったりするんだけど、今作は特にそれが顕著で。

っていうか画家の先生の勘違いは色んな意味でかわいそう過ぎるよ…どっちにとっても。



それぞれの視点。限定された情報。
どこにでもいる女。どこにもいない女。

っていうかその内の一人が、私と全く同じ名前（勿論姓は違うけど）だったんで、読んでてなんか物悲しくなってきちゃったよ。正直、詠み終わるのにかなり時間がかかったのはそれが主な原因だったり。

とはいえ全ての材料が揃い、舞台の用意も終了した後に語られる事件の真相は―――うう、今までの京極作品とは大分オモムキが違うような…でも、私的にはある種の突き抜けてしまった感があるこれまでの犯人、特に幾つかの類似点が見られる（ネタバレ？：『絡新婦の理』の織作茜）に比べて、犯行（といえるかは微妙か？）動機や実際の行動が卑小な分、生生しくてこっちの方が怖かったよ…こういう意見は少数派なのかな。

ラストのあのシーンは真犯人（首謀者？）の世界の崩壊を描いているんだろうけど、それがただ単にやや幼い感すらある恋愛物語に収束してしまう所に物足りなさを感じる反面、どこまでも吹っ切ることのできなかったこの真犯人の物語としては相応しいような気もしてしまうから…なんか、絶妙に微妙。

壊れた人間の壊れた内面を淡々と描いている所は、ちょっと西尾維新氏の作品を連想したり。でも、その壊れた人間達の殆どはかなり悲惨な末路を迎えている辺りが、両者の作風の根本的な違いなのかな。私はどっちもどっちで好きだけど。

でも、残念な事に私は今回の事件の真犯人というかなんと言うかな人は好きになれないなあ。

状況に流されて、嘘を吐いて、誤魔化して、正当化して。結局何一つ自分の手では行わなくて、それ以前に何事も自分自身の意志で選んでいないように見えるんだよね…自分の望んでいる事をわかっているくせになぁんにもしないで誰かに委ねて―――こういう人をどうしても好きになれないのは、やっぱ近親憎悪なんだろうなあ。精進、しなくては。



で、ここからはキャラ萌え目線で。

個人的に一番嬉しかったのは本島くんの名前が一箇所だけとはいえ出てた事ー！　本島くんラヴ。ぜひぜひキミはマイペースに隣人の紙芝居描きと仲良くしていてくれ。　っていうか京極堂にキミは一体なにをしに行ったのさー。

（本島くん好きの人を最近はチラホラ見かけるんでハッピー。でも、近藤と本島のコンビが好きって人はあんまり見かけないんでロンリー。…萌えるんだけどなぁ、あの幼馴染み隣人コンビ）

あとあと、近作を語るのに絶対外せないのは、未だかつて見た事がないほどにしっかりとした、ちょっと強気な関口くんではないかと。ちゃんと喋れてるよ、エノさんと対等（？）に渡り合ってるよ、そもそも初登場シーンからして京極堂と仲良しだよ。凄いよ関口くん！！！

（私は《助手好き》のスキルを持っているので、当然このシリーズでの最愛キャラは関口くんなのです。そんでもって今昔では沼上くんで、百器では本島くん。なので、五徳猫の沼上＆本島シーンは悶絶物だったり。もしもあそこに関口君の姿まであったら萌え死んでたよ、私ゃ）

っていうか今回はお巡りさんチームが可愛すぎるよう。青木、木下、木場なんかは元々好きキャラだったけど、今回初登場の新たなるお巡りさんキャラたちも全員グッドすぎるんだよう。更に更に山下社長…あなたは何であんなに可愛いのですか？　正直、初登場時と同じ人とは思えないんですけど（でも、あんまり前作以前の事を記憶してなかったり）やっぱりこれは京極堂の憑き物落としの効果なのですか？　だとしたらワタクシは今後しばらくの間は京極堂を崇め奉る事に致します。

そして、今回初登場の注目キャラといえば勿論、公安の郷嶋さんなわけで。―――《公安》の二文字からとんでもなく嫌な奴（だって物語に出てくる《公安》の人って大体そんな感じだし。実際はどうだか知らないけどね）を想像してた分、青木との会話シーンの破壊力といったら…！！　ああもう、自分の萌えツボがあんまりに分かりやすくて嫌になってくるけど、でもでもこの手のキャラは結構好きだ。再登場…するよね？するよね？して欲しいよね？