カテゴリ:ひとり言
ヒトはこの自然界の生き物の中で知的能力が最も優れた種であることは疑いのないことと思っていましたが、チンパンジーの子どもが、人間のおとなよりも知的に優れている面があることを皆さんはご存知だろうか? 本日の日経サイエンス欄「チンパンジーと博士の知の探検」に書かれていました。 知力は人の人たる所以ともいえるもの、人間様が知力でサルに劣るということがあるものだろうか? 京大霊長類研究所の松沢哲郎先生が、チンパンジーの親子3組に数字を覚えさせて行った実験で明らかにした瞬間記憶の能力では、人間には到底覚えきれないたくさんの数字をチンパンジーの子供は楽々覚えてしまうということです。 モニター画面にまったく無秩序にバラバラに表示される1から9までの数字の位置を、数字の小さい順に指差す実験で、人間もチンパンジーの大人も精々で数字5個程度までが限界で、それ以上となるとまったく覚えられないのに対して、チンパンジーの子供は一瞬で1から9までの位置を覚えてしまうことがわかったというのです。 さらに松沢先生の考察は続きます。サルには残った瞬間記憶の能力をヒトは進化の途中で失ったのは明白であるが、ヒトは新たに自分が体験したことを情報として仲間と分かち合う能力を発達させた。 素人には理解しにくい論理ですが、松沢先生はこれを次のようにわかりやすく説明してくれます。 「森でシカを見たとしよう。額に白い斑点があり茶色の背中で脚が黒かった。人間はそうした細部を瞬間的に記憶することは出来ないが、それは"シカだった"と記憶し、仲間の待つ路営地に持ち帰ることができる。その経験を身振りやゆびさしや声で仲間に伝え、協力して狩をし獲物を女や子供たちに分けることもできる」 ここまで来れば出来の悪いヒト( ← 私のことです・・・苦笑!)にも分ります。私が出来の悪いながらも言語を操れるのは、その昔ご先祖様が瞬間記憶の能力を失ったからだと。 毎週日曜日に連載される「チンパンジーと博士の知の探検」は今週で43話になりますから、これで1年近く続いたことになります。連載終了後に改めて校正され出版されるでしょうから、ぜひ買い求めて通して読んでみたいと思っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年03月13日 21時23分45秒
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