カテゴリ:本
昨日に続き、浅田次郎のエッセイ集「パリわずらい 江戸わずらい」から。
浅田次郎氏のにわかには信じ難い不思議な得意技について。「ドリームメーカー」と題して書かれていました。 もともと子供のころより夢を見ぬ夜はなかったという氏、子供のころ毎夜見た夢を日記につけていて夏休みの日記の代わりにそれを提出したら、親が学校に呼び出されたというのですから、なんとも言葉に窮します。栴檀は双葉より芳し、そのころすでに物書きの片りんを見せていたということでしょうね。 「長じて小説を書くようになってからは、夢に見たままをストーリーにすることしばしばである。・・・そうした具合に長らく夢と付き合っているうち、近ころではこの別世界を相当に支配できるようになった。・・・」 えぇ~!そんなことできるわけがないと思うのは、凡人の悲しさ。この天才文人は、寝入りばなに「本日のテーマ」を考えるというのです。 「四面楚歌の居城にて軍議中の戦国武将、浅田次郎左衛門」、「フィレンツェの街角のカフェで妙齢の美女と恋を囁く、アーサー・ダ・ジローネ」、「丸い色眼鏡と長袍(チャンパオ)、上海フランスの夜の顔役、浅大人(チェンタアレン)。その正体は日本の特殊工作員」などなど・・・。 「浅田次郎左衛門」と「浅大人(チェンタアレン)」は分かります。幕末と清朝末期の中国北東部を舞台にした数々の時代小説は、夢の中でストーリーを構築した会心作だったとは驚き以外の何物でもありません。 ・・・浅田先生、またまたごめんなさい。現では「ハゲ、デブ、メガネのアブラオヤジ」のジローネは、夢の中ではどんな顔をして恋を囁くというのだろう?(笑! アーサー・ダ・ジローネ主役の恋愛小説、ぜひ読んでみたいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年01月06日 14時21分38秒
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