カテゴリ:遊遊漢字学が楽しみ♪
毎週日曜日のお楽しみ、漢字学者阿辻哲次氏の日経連載「遊遊漢字学」。 文字を一目見るだけでそれが何を意味しているかすぐにわかる、世界に類を見ない優れた表意文字漢字。わが国はこれを国字として取り入れ、これを基にしてあみ出した平かなと片かなを合わせた漢字かな交じり文を用いるにいたり、わが国独自の優れた言語文化を築き上げて来たと言えます。 一方本家本元の中国では、あくまですべてを漢字で表すことにこだわったために、膨大な数の漢字があみ出され、その数は10万字にも及ぶと言われています。 10万字も漢字を覚える労力について言及する前に、漢字には画数が20画も30画も必要とする複雑な文字が多くあることはご承知のとおり。ゆえに漢字は常に文章を書くのに手間暇がかかるという欠点を内包した文字だとも言えます。 先週の「遊遊漢字学」では、この欠点を補うための略字について、「机」を例にとりわかり易く説明いただいたばかりですが、何でもやみくもに画数を減らして簡略化しているかといえば決してそうでなく、それは漢字本来の構造に基づいて行われており、現代でも作り続けられている簡略字も例外ではないと阿辻先生はおっしゃっています。 その例として挙げられたのが「从」という字。 ・・・なんだ、これは?こんな漢字あったかと思われた方、ほとんどではないでしょうか。私なんぞは「人」の複数形かと思いました。(苦笑! しかしこれは、音読みだと「ジュウ」、訓読みで「したが」う。こう書けば、何となくわかって来ますね。「从」とは「従」の簡略字だというのです。正確には「從」の簡略字。 日本では戦後の国字改革で「從」を「従」と改め、「したが」うと読ませましたが、中国では「從」を「从」と簡略化して「ジュウ」と読ませる。 もともと「从」は、ある人が前の人につきしたがっている様を表している漢字。そういう意味では、人の複数形かと思ったのもあながち外れてはいなかったかも・・・。(笑! だから「從(したが)」うの意を表すには、「从」の部分がなくては意味をなさない。日本式の「従」では、従うという意味をなす大切な部分が欠落してしまっていると、阿辻先生は指摘されています。 ・・・う~む、恐るべし漢字。 その起源を遡れば3000年前とも、3500年前とも言われていますが、表意文字としての大原則が現代の簡略字においても継承され、息づいているのですね。 漢字を習う者のひとりとして、漢字の根底にある大原則を忘れることなく、漢字を編み出した古の先人に、「从(したが)」って行きたいものだと思いました。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年12月24日 11時52分34秒
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