カテゴリ:本
いまや愛煙家ほど肩身の狭い思いをしている人はいないでしょう。 家でも職場でも喫煙の場所は取られるは、税金はしっかり取られるはで、踏んだり蹴ったり。お気の毒なことです。 物思いにふけるかのように紫煙をくゆらしながら、おもむろにグラスを傾ける。酒とタバコは男の象徴そのものであったと言えたのも、もはや遠い昔のこととなろうとしています。 その男の象徴の担い役であった酒。過度の飲酒による酒毒がもたらす健康被害については、どうでしょう? アルコールの販売や広告の規制を求める指針案が、世界保健機関(WHO)において採択されてから、すでに10年以上経とうとしているのに、比較的世間一般ではタバコほどその実害が大きく騒がれていないようにも思われます。 まあ、世間一般ではそうかもしれないが、家では女房からやかましく言われているという方もいらっしゃるかもしれませんが。(笑! 習慣的な過度のアルコール摂取は、がんによる死亡率を高めるということは、すでに研究によって明らかになっていますが、酒の場合タバコと違って受動喫煙というようなことがありませんから、酒飲みは酒飲みの責任においてリスクを被るだけというのが、大きな要因といえるかも知れません。 「俺が酒を飲んだからといって、お前ががんになるわけじゃない」というわけです。 しかしよくよく考えてみると、何しろ神代の昔から、人間と酒とは深い関わりを持ってきたのですから、いったいどれだけの人間が酒のために命を縮めていったことだろうとも思うのです。 私の好きな歴史小説作家の一人、現役の医者でもある篠田達明は、その著書「病気が変えた日本の歴史」の中で、がんについて専門家の医者ならではの風変わりな見解を述べています。 戦国武将前田利家の死因を消化器系のがんであろうと推測して、そのがんについて、次のように書いています。 「がんはそれとわかってから半年ぐらいは命があるのが普通だし、臨終近くまで意識がはっきりしているので、遺言はじめ死後の処理を考える時間が十分ある。利家も余裕をもってさまざまな指図をすることができた」 「覚悟さえできれば、がんで死ぬのも悪くないな、とわたしは思う。だいいいち、がんは長い間ニコチンやアルコールを与えてわが身に育てた可愛い分身ではないか」 ・・・う~ん、分身とな。 さて、酒をこよなく愛する輩(ともがら)よ、WHOの指針もどこ吹く風、篠田達明のようにありたいものだと思いませんか? にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年05月06日 11時50分04秒
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