カテゴリ:酒
中国唐代の三大詩人といえば、李白、杜甫、白楽天。歴史にその名を残すこの三大詩人の酒癖について語ってきました。 白楽天を「理性派」とすれば、杜甫は「苦悩派」であろうと。残されたもう一人、李白にいたっては皇帝からの招へいの使者が訪れても飲んだくれている方を選んで、「自 称 臣 是 酒 中 仙」と使者を追い返したというのですから、これはもう「超越派」としか言いようがないというのが私の主張です。 さて李白とその酒について語ろうとすれば、どうしても取り上げずにはいられないのが、妻に贈ったとされる五言絶句、「内(ない)に贈る」。ここにも桁外れの「超越」ぶりを見て取ることができます。 三百六十日 三百六十日 日日醉如泥 日日醉ひて泥の如し 雖為李白婦 李白の婦と為ると雖も 何異太常妻 何ぞ太常の妻に異ならん 当時の暦は一年が360日。毎日々々飲んだくれていたんですね。(笑! 泥とは泥虫(どろむし)のこと。 言わずもがなではありますが、「泥」と「妻」に韻を含ませるとは心憎いばかりです。 「太常(たいじょう)」とは宮中で天使の祖先を祭る役人のこと。 「漢詩酔談」によれば、後漢の時代に太常であった周沢(しゅうたく)のことを指すとありました。 この周沢なる男とは、李白とは正反対の謹厳実直を絵に書いたような人物で、1年360日のうち359日禊(みそぎ)をして宗廟に仕えたというオソロシイ男。ある日体調をくずして斎宮で倒れた周沢を心配した妻が宗廟に赴いたところ、宗廟を穢したと言って烈火のごとく怒ったという逸話が語り継がれているということです。 「お前は俺の妻となったけれども、こんな酔っ払いですまないねぇ~。これじゃ~、まったくかの伝説となった漢の太常・周沢と同(おんな)じだ。うぃ~」って、すさまじい「超越派」としか言いようがありません。 にほんブログ村 FC2ブログランキング 人気ブログランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年02月03日 11時50分05秒
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