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2021年09月18日
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日経連載小説「ふりさけ見れば」を毎日楽しみに拝読しています。今日がその第56回目。

日本人なら「ふりさけ見れば」と聞けば、誰しも「春日なる三笠の山に・・・」と口をついて出て来ようというもの。「遣唐使」「阿部仲麻呂」「ふりさけ見れば」は、いわば歴史の3点セット。

若干19歳にして遣唐使節の一員に選ばれた俊英、阿倍仲麻呂。唐の都長安で科挙の進士の試験に合格し、第5代皇帝玄宗に高官として仕えた。しかし、日本への帰郷の願いは玄宗の許しが下りず、ついに叶うことがなかった。冒頭の「ふりさけ見れば」は、望郷の念にかられた仲麻呂が月を仰いで詠んだ歌と言われていますね。


そもそも仲麻呂に代表される遣唐使節員の悲劇は、遣唐使節員は現地で妻帯は許されても、帰国に際して妻をいっしょに連れ帰ることは固く禁じられていたことにあります。


長安に留学してよりすでに十数年の歳月が流れ、仲麻呂には医者である妻・若晴(じゃくせい)との間に、双子の息子・翼(つばさ)と翔(かける)をもうけていた。

当時最先端を誇る唐の文化を学び、それを日本に伝えるというのが遣唐使の役目。仲麻呂も当然本来の勤めを果たさなければならない。

著者の安部龍太郎は、遣唐使節員としての使命と家族との深い絆との間で揺れ動く仲麻呂の気持ちを、漢詩を登場させることによって巧みに描いています。

まず登場したのが李白の五言絶句・「静夜思」。仲麻呂の友人で同僚の官吏でもある王維との会話の中で、王維に李白の「山月」と「故郷」の対句を語らせていました。


  牀前看月光  牀前月光を看る
  疑是地上霜  疑うらくは是地上の霜かと
  挙頭望山月  頭を挙げて山月を望み
  低頭思故郷  頭を低れて故郷を思う


次は妻・若晴の叔父でもあり仲麻呂の上司である宰相の張九齡の五語律詩・「望月懷遠」。


  海上生明月  海上明月を生じ
  天涯共此時  天涯此の時を共にす
  情人怨遙夜   情人遙夜(ようや)を怨み
  竟夕起相思  竟夕(せきゆう)起(た)ちて相い思う
  滅燭憐光滿  燭(しょく)を滅して光の満つるを憐れみ
  披衣覺露滋  衣を披(はお)りて露の滋(しげ)きを覚ゆ
  不堪盈手贈  手に盈(み)たして贈るに堪えず
  還寢夢佳期  還りて寝(い)ねて佳期(かき)を夢みん


安部龍太郎は、この漢詩を張九齡が姪の若晴のために書いた詩として登場させています。はるか海を隔てて見ることになる月を、張九齡は初句で「海上生明月」と表現しています。

李白、王維、張九齡といった歴史に名を残す詩人が活躍した唐の都・長安。まさに時を同じくして仲麻呂はその長安にいたということになりますね。

当時の中国の官僚は皇帝に政策を献ずるにしても、五言・七言の韻を含んだ文章にして奉じなけらばならなかったということですから、科挙の進士の試験に合格して中央官僚に登用された仲麻呂にしてみれば、漢詩は紙と硯がありさえすればたちどころに書き上げることができようというものです。

しかし、倭人の血が仲麻呂に三十一文字で表現することを選ばせたのでしょうか。


天の原 ふりさけ見れば 春日なる
三笠の山に 出でし月かも


・・・安部龍太郎の筆が待たれます。





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最終更新日  2021年11月01日 06時33分04秒


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