2024/02/17(土)11:50
あなたは誰にどんな餞の言葉をもらいましたか?誰にどんな餞の言葉を送りますか?
新聞のスクラップを整理していたら、土曜日の日経に別折込でついてくるNIKKEIプラス1のこんな記事が目にとまりました。
「忘れられない門出の言葉」。6年前の記事になります。インターネット調査で寄せられた回答をピックアップした日経生活モニター会議という記事と題して掲載されておりました。
春は卒業や就職など新しい人生の一歩を踏み出す季節でもあります。改めて目を通すとあの時の感動がよみがえってきます。
高校の校長先生が贈ってくれた言葉
「人生は負けることが多い。泣いたところが"竹の節"だ。己が強くなる」(30代男性)
結婚して家を離れるとき「明日から家族ではない。親戚になるんだ」と言われ、もう帰れないんだと思った。(50代女性)
はじめての転勤の際、上司から「丸くなるなよ」と言われた。自分が正しいと思ったことはきちんと自分の考えを述べていたところを評価され、激励された。(50代男性)
入社3日目で会社が嫌になり、母に「故郷に帰る」と言ったら「石の上にも三年」と返ってきた。(50代男性)
・・・なかなか味のある言葉ではありませんか。
本当に人生は、思ったとおりに行かないものです。50点ならよしとしたもの。満点など望むべきもありません。男たるもの一人寝床に帰って枕をぬらすことの何と多きことか。
・・・ふ~む、濡らした枕が節になると。さすれば、私なんぞ随分節くれだった枝ぶりの悪い竹なんでしょうね。(苦笑!
父親と娘。家族と親戚の間には、天と地の開きがあることを聞かされる娘もつらいでしょうけど、言って聞かせる父親の方もつらい。娘にとっても父親にとっても大きな節目に違いありません。乗り越えていかなければならない人生の定めというものでしょうか。
母親と息子。そのような情けない軟弱な男に育てた覚えはないと、ピシリ。母の言葉は厳しいようでも温かいものです。しかし、石の上はやはりなかなか冷たいもの。3年が5年、5年が10年座っていても冷たくてすわり心地が悪いということを知るには、二節も三節も節をつくらなければなりませんね。
一方で「誰からも言ってもらった記憶なし」(70代男性)や「そんな優しい言葉はサラリーマン生活42年の中で聞いたことがない」(70代男性)と、戦前・戦中生まれの世代は「欲しがりません、勝つまでは」で頑張ってこられたのでしょうか?
あなたは誰にどんな餞の言葉をもらいましたか?誰にどんな餞の言葉を送りますか?
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「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中
この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。
まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。
はじめに
小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。
「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」
そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。
ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。
・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。
日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。
そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。
「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。
まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?
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第一部「酒」編
「過ぎたるは及ばざるがごとし」
古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。
「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。
このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。
大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。
3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?
しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。
すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。
確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。
あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか?
う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。
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飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。
酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。
世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。
ぜひご一読いただければ幸いに存じます。
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