ヨウ素の同位体ヨウ素の同位体 2007-07-23 20:18:59テーマ:化学 ヨウ素という元素は天然に存在する安定同位体はヨウ素127のみ このヨウ素127の相対質量は126.90 ちょっと考えると中性子の質量は陽子の質量より大きいから 陽子の数より中性子の数のほうが多いヨウ素127の相対質量は 127より大きくなりそうなものだが 127より小さい値になっている これは質量欠損という現象で 原子核の質量は陽子と中性子の質量をあわせたものより小さくなるため (質量保存の法則は成り立たない) 天然のヨウ素にはこれ以外の同位体は含まれないので ヨウ素の原子量は 126.9 ということになる しかし医療の現場ではさまざまなヨウ素の同位体が使用されている この場合用いられるのはおもに半減期の短い同位体である。 たとえば脳ン梗塞のンには診断にはヨウ素123を血管内に注入し 詰まっている場所を診断するわけである ヨウ素123の半減期は13時間なので診断後には安定な核種に変化している それでも体内被曝はするけれども 脳梗塞という死にいたる病変を発見できるメリットの方が大きい こうした医療目的で使用される場合は厳重に管理されていて 環境中に放射性核種が放出されることはほとんどないのだが 核兵器が使用されたり、原子力発電所が事故をおこしたりすると とんでもない量の放射性同位体が環境中にばらまかれることになる そんな場合に一番問題になるのが 1570万年というとてつもなく長い半減期を持つヨウ素129 いったん環境中に放出されてしまったら 半永久的になくならないといってもいい ヨウ素131は医療に用いられることもあるが こうした事故のときにも大量に環境中に放出されることがある 人体では甲状腺に集まる性質があるので甲状腺ガンになる危険があり チェルノブイリ事故のときに通常のヨウ素(ヨウ素127)を 投与していた映像があったのを記憶している方も多いだろう このヨウ素131は8日という微妙な半減期なので事故後一ヶ月くらいは注意が必要 今回の地震によって7号機の排気塔から検出されたのは 時事通信によると ヨウ素131 と ヨウ素133 ヨウ素133は半減期こそ21時間と短いが このようなものが排気塔から検出されるということは 重大な事故が起こった可能性があるだけに怖い ところでこのヨウ素133が壊変した後のことはあまり言及されないが おそらくβ壊変によってキセノン133(半減期5日)になるのだろう 半減期の短い核種が半減期の長い核種に変わった場合放射能は弱くなるし キセノンは空気中に広く拡散して化学反応もしないからほぼ問題はないのだろう ジャンル別一覧
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